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「トヨタ・センチュリー」に描いた、福島県の生徒たちによる平成カスタム文化

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

左ハンドル&観音開きドアでローライダー化

 昨年は元号が平成から令和に変わり、まさに歴史の節目というべき1年だった。東京オートサロンに展示された1台は、平成のクルマを使い、平成に流行ったカスタムを記憶に残すべく、製作されたローライダー仕様のトヨタ・センチュリー。福島県にある「WiZ 国際情報工科自動車大学校」の自動車車体工学科3年生たちが手掛けた力作を紹介しよう。

 センチュリーに込められたコンセプトは『Memory(メモリー)』。言葉どおり、平成の懐かしい記憶を呼び戻し、かつ見た人の記憶に刻み込まれるクルマの提案だ。平成の時代に日本でも大いに流行したカスタム文化の”ローライダー”を、最高級セダンであるセンチュリーで改めて作り込み、当時のクルマ文化を残していこうというもの。

 まず、誰もが驚くのはステアリング位置が左になっていること。センチュリーは海外で販売しておらず右ハンドルしか存在しないが、ローライダーは知ってのとおりアメリカ発のカルチャー。そのため、左ハンドル化は絶対に譲れなかったというポイントだった。もちろん、右から左への移設は簡単にいかない。

 ステアリングラックやギヤボックスを移設したり左右反転させ、干渉する部分のバルクヘッドを違和感のないよう加工。さらにブレーキ系ではマスターバックを移設し、ホースもそれに合わせてワンオフで製作した。当然ながらダッシュボードもハンドルの移動に伴い加工しているが、切った貼ったの跡が分からない自然な処理は見事というほかない。

 続いて、リアドアのスーサイドドア化にして”観音開き”にしたこと。変換キットは海外メーカーの既製品を使用したが、センチュリーのドアが非常に重たく、強度が足りないことが判明。ドアを支えるヒンジを追加することでドアの重さに負けず開閉できるようにした。

 そして、鮮やかな車体のカスタムペイントもパソコンで3Dモデルを作り、アイディアを出しつつデザインを煮詰めていったとのこと。実際のペイントではなんと12回も重ね塗りを施し、美しく明るくも深みのある風合いを実現させた。

 他にもエアフォース製のエアサスタンクをスマートに収納したトランク、フェンダーの下から顔を覗かせるワンオフ製作のマフラー、あえて純正のままにしたインテリア、足もとを飾るフィンタイプの20インチホイールなどなど、見どころが満載の1台。東京オートサロンの会場では、来場者から「コレを見るために来たよ」との嬉しい声も聞けた。

 今回、東京国際カスタムカーコンテスト2020において、コンセプトカー部門優秀賞を受賞した「WiZ 国際情報工科自動車大学校」。令和になってからの初の作品『センチュリー・ストレンジエディション』は、まさにプロ顔負けの完成度であった。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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