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オールド・アメリカン風味の「Cuba」 ボディを大胆ストレッチしたベース車の正体とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

カリブ海の雰囲気とアメリカ車がコンセプト

 1950年代に生産されたクラシックなアメ車が、今も現役で走りまわっている島国キューバ。「日産愛知自動車大学校」が東京オートサロン2020に出展したのは、そんなカリブ海に浮かぶ国を思い起こさせるルックスの日産キューブだ。学生がわずか2カ月半で作ったという、キューブ改「Cuba(キューバ)」に迫ってみよう。

 今も昔も世界でイチバンの自動車大国といえばアメリカで、そこに憧れを抱くのは日本車が台頭した後に生まれた若者でも変わりない。日産愛知自動車大学校の生徒たちも同様で、東京オートサロンへの出展車をどうするか話し合ったとき、たくさんの候補から残ったのが『古いアメリカ車』というテーマだった。

 アイディアはあくまでも生徒の自主性に委ね、目標が決まってから講師陣を交えてベースになりそうな車種を選定。結果、2008年式のZ12キューブを使うことが決定した。

 イメージは1958年のキューバ革命政権が成立する前、アメリカと親密だった時代に流入したフルサイズのアメ車だ。国交が断絶してからも当時のアメ車は現役で走り続け、現在もコンディションのいい個体が数多く残っているキューバ。リスペクトという思いから、車名も「キューブ」をもじって「Cuba」と名付けられた。

 全体のシルエットを当時のアメ車に近付けるため、ボディは前後を1mほど延長した上に、ワイドフェンダー化。なかでもデザイン面で特にこだわったのはフロントマスクで、いかにもアメ車らしいフロントグリルはパイプを溶接してからポリッシングし、丸みを帯びて突出したバンパー下部や丸型のヘッドライト、フロントガラス上部のスポイラーなどと併せ、古き良き時代のアメ車の雰囲気を演出させた。

 ドアパネルもキューブのままでは薄すぎて違和感が大きいため、厚みを持たせつつフェンダーやサイドシルとのバランスが取れるように成型。ボディカラーは、当時生産されたアメ車の写真や映像などを参考にしパープルを塗装。ホイールはアメリカの名ブランド「アメリカンレーシング」製で、レトロなデザインの15インチサイズをチョイスした。

 

ブラックとホワイトの内装で高級感を演出

 そして、インテリアは当時を忠実に再現するのではなく、リムジン化という大胆で斬新な手法が用いられた。運転席と助手席の後方をパネルで塞ぎ、裏側には大型のモニターをインストール。キューブとは思えないほどリラックスできる空間で、ブラックの内装とホワイトのシートによるコントラストも見事だ。

 作業期間がわずか2カ月ということもあり、細部を見れば粗もありギャラリーの声が不安だったという”キューバ”。自分たちが生まれる前のクルマに憧れを抱き、カタチにした熱意には誰もが拍手を惜しまないだろう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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