あらゆる事故に対応する世界最高レベルの安全
自動車のシートは快適であり、安全な運転姿勢がとれる事も必要ですが、もし万一事故の際には「乗員を保護」するものでなければなりません。ところが、快適で安全な運転姿勢や乗車姿勢を作り出すための「シートアジャスト・システム」など可動部分が多いほど、衝撃を受けてシートが壊れる確率が高くなります。
また、事故のデーターではシートベルトを着用していてもフロントシートが後方に倒れ、後面のリアウインドウを突き破って車外へ放出されるという事例があるのも事実。過去の事故例での割合は少ないものの、メルセデス・ベンツの安全性から言えば、決して見逃すことは出来ません。
そこで、メルセデス・ベンツはフロントシートをスライドさせる「ガードレール」をモノコックボディの強化された部分に取り付け、そのガードドレール上に非常に頑丈な鋼鉄製シートサブフレームを設置して対策しています。
そこで、さらに詳しくメルセデス・ベンツのシートについて解説していきましょう。
莫大なデータをもとに蓄積されたノウハウ
まず、メルセデス・ベンツのフロントシートのガードレールは、モノコックボディの強化された部分に取り付けられ、しっかりと固定されています。写真の赤い部分がモノコックボディの強化された部分で、シートはしっかりと”緑”の丸印箇所に固定されているのがわかります。
また、筆者が室内より取り外し撮影した230E(1985年式)のドライバーズシートは当時、シートの前後スライドや高さは手動式。レバーを手で持ち上げながら調整し、リクライニングについてもダイヤルを手で回し、確実に微調整できるようになっていました。
さらに、同じく230Eのドライバーズシートを確認すると、右下部にはシートを前後スライドさせるレバーが存在。裏側を見ると、ガードレールをモノコックドボディの強化された部分に取り付ける穴があります(赤丸印の部分)。
こうした対策により衝突時にフロントシートはしっかり固定され、シートベルトの効果を最大限に発揮。これらのシステム強度は法規制に合わせたものではなく、メルセデス・ベンツがクルマの破損や乗員の状況を約3000項目にわたって調べる体制を整え、これまで4000件もの事故調査やクラッシュテストにより独自に設定したものなのです。
いま、クルマはCASE時代に突入しています。CASEとは、メルセデス・ベンツが2016年10月のパリモーターショーで発表した中長期の経営ビジョンで、「Connected(インターネットを介して外とつながる)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared(所有せず共有する)」、「Electric(電動化)」の頭文字をとったもの。4項目すべては、本当の産業革命を起こすメガトレンドと言われています。
めまぐるしい速さで進化を遂げる電動化と自動運転。特に、自動運転モード中に室内は大スクリーンを見ながら全てのシートでエンターティメントを楽しめる空間となますが、より安全で快適なシートが重要となってくるでしょう。