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「ハチロク」廉価版で遅いはずの”AE85(ハチゴー)”に大注目! 学生の発想が生んだ「羊の皮をかぶった狼マシン」とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

8名の学生が4カ月かけて作り上げた注目作

 レストアした旧車や奇想天外なカスタマイズカーを東京オートサロンで毎回披露する「トヨタ東京自動車大学校が、今回展示したクルマの中で特に注目だったのが、「ハチロク」でおなじみ4代目レビン&トレノの廉価グレードモデル”AE85″がベースの車両。シングルカムのローパワーエンジン搭載車はハチロクの影に隠れた存在であり、当時はお世辞にもパッとしなかった。しかし、ここにあるのはサーキット仕様。卒業生であるオーナーの愛着とコダワリ、学生たちの発想と技術が相乗効果をもたらした1台を紹介したい。

 ポルシェ純正のマイアミブルーに全塗装されたスプリンター・トレノ。外装もエンジンも完全にAE86仕様となっているが、前述のとおりベース車は廉価グレードのAE85だ。トヨタ東京自動車大学校の学生たちは旧車のレストアを以前から手がけており、今回めでたく東京オートサロン2020で披露された。

 卒業生がサーキット仕様にするべく所有していた車両を借り受けて、オーナーのリクエストを取り入れつつ8名のスタッフで仕上げたマシン。まず、エンジンは定番のAE111(7代目レビン&トレノ)用20バルブに載せ替え、搭載前にオーバーホールを行ない、マフラーやエキマニといったライトチューンのみで耐久性を重視した。目を引く4連スロットルもAE111純正だが、インダクションボックスを外しファンネル剥き出しにすることで、迫力ある外観とスポーティな吸気音を手に入れている。

 サーキットがメインなのでエアコンやパワステは軽量化のため取り払い、海外から取り寄せた「DNAモータリング」製の大容量ラジエーターや、サーキット走行では必須のオイルキャッチタンクを装着。ボディはラッキーなことに腐食はあまりなく、バックパネルのサビを落とす程度で、それほど大掛かりな作業は必要なかったそうだ。

 エクステリア最大のモディファイといえるのはルーフ。ステッカーではなく純正の屋根を切って本物のカーボン製に貼り替えた。インテリアも内張りをすべて剥がし、フロアと同色に塗装した7点式のロールケージを取り付け。クラッシュ時にドライバーを保護するのはモチロンだが、最新のタイヤによる強烈なグリップ力を受け止めるためにも、ボディ補強はマストといえるだろう。

 そして、足まわりは「TRD」の車高調をベースにピロテンションロッドとピロアッパーマウントで、セッティング幅を広く確保。”AE85改AE86″、今後は校内で簡単なテスト走行をしてからオーナーに返却され、セットアップ後にサーキットで活躍する予定だ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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