保険や税金、部品の入手を悩みと思うか否か
一時の高騰ぶりは少し落ち着いた感はあるが、高値維持というのは変わらないし、イベントやカーショーをみても旧車の人気は未だに高い。レストア済みの車両も増えてきて、一見すると「普通に維持できるのでは?」と思ったりするかもしれないが、現実にはいろいろな問題があるのも事実。今回は、旧車を維持するうえでのリスクや苦労について、旧車を所有し、数々のショップやオーナー取材を行なってきた筆者の目線で、まとめてみることにしよう。
数年前から続く旧車の高騰は負担ではあるが、購入時の”買える買えない”という車両本体価格については、個別の問題なので触れないでおく。他の費用面で言うと、「税金」と「保険」が一番の問題。税金は13年を超えると、自動車税と重量税が増税され、たとえば前者は15パーセントアップとなるなど負担は大きい。
そして、「保険」については”対人”などは加入できるが、”車両保険”は基本的に無理。ただでさえ、減価償却されて価値がどんどんと減っていき、事故時の賠償でも揉めやすいというなか、「旧車なんてもってのほか」といったところだ。
1990年代のいわゆるネオクラシック車でも車両保険は入りにくいと思ったほうがいいが、旧車としての価値があるのも事実。この点を調べて資料を作れば現実に即した車両保険に入れるケースもあって、実際に加入しているユーザーもいる。本来、旧車というのは”日常の足”に使うことは少なく、年間走行距離も多くない。オーナーは大切に乗る人が大半なので、リスクの少ない”お客様”だと思うのだが、保険会社の知り合いに聞くと「細かく評価すれば入れるけど、会社からはできるだけ入れないようにと言われている」とのことで、現実はかなり厳しい。
部品の確保など維持していくためのリスク
維持という点では日頃の燃費やオイル交換頻度の高さだが、これも旧車に乗りたいと思う人には気にしていない点だと思うので、リスクにはならないだろう。それよりも維持において困るのが、まずは「部品の確保」だ。基本的に日本車の場合は出ないと思ったほうがいいぐらいで、部品番号で追って見つかれば”ラッキー”ぐらいに考えておいたほうがいい。
特に日産のハコスカ(C10型スカイライン)やフェアレディZといった人気車種であれば、リブロパーツが増えているので負担は小さいものの、純正パーツが多く残っているわけではないし、粗悪な復刻部品もあるので注意が必要。また、ネットオークションでも探せばデッドストックが出てくることもあるが、そこそこのお値段なことが多いし、品質も劣化していることもあるので、いずれにしてもラクではないのは確かだ。
ちなみに、欧米旧車の部品はかなり入手しやすい。しかし、リーマンショック以降、状況は悪化。生産中止も増えているし、たとえ入手できたとしても品質はかなり悪くなっている傾向だ。