受けていないと車検に通らない可能性も
中古車においては販売店の独自保証を用意しているケースが多い。しかし、年式によってはメーカー保証が残っている場合がある。そうした個体においてメーカー保証を受けるには、ひとつ条件があることはご存知だろうか。
中古車店でメーカー保証継承を告知する義務はない
それは、メーカーの正規販売店(いわゆる新車ディーラー)に行って、規定の点検を受けるなどして「保証継承」を行なうことだ。じつは年式的にメーカー保証が残っていても、基本的にメーカー保証というのは新車で購入したユーザーが対象となっている。その保証を継承するには各メーカーの規定に沿った点検や継承作業が必要で、コストとしては国産車であれば1~2万円と手頃なもの。ただし、違法改造がなされていたり、保証書を紛失していたりすると継承できないこともある。
このメーカー保証の継承について中古車販売店は告知する義務はない。業界的には保証継承についてしっかり説明するような動きになってはいるが、ユーザー自身が知識として持っておく必要がある。こうした説明をせずに、中古販売店独自の高額な保証を勧めてくるケースもあるので気をつけたい。特に高年式の中古車を手に入れた場合は、ディーラーで保証継承が可能かどうか確認してみるといいだろう。
中古車のリコール情報は自ら検索しなければならないことも
一方、リコールというのは保安基準を満たさないことが考えられる製造上・設計上の問題があったときにメーカーが無償改修するもの。こちらは新車から乗っていようが、中古で購入したばかりだろうが関係なく対象となる。新車から乗っていると購入したディーラーから連絡が来ることあるのに対して、中古で手に入れた場合は自動車メーカーからの通知を見て、ディーラーにリコール作業の申し込みをする必要があるといった違いはあるが、作業自体に関して違いはない。
ただし、リコールの連絡は基本的に車検証に記されている所有者・使用者をベースに行なわれる。個人売買などで名義変更をしていなかったり、引っ越したのに住所変更をしていなかったりすると、リコールを連絡する手紙が届かないこともある。名義変更や住所変更はクルマを購入した際にはしっかりと行なっておきたい。
ちなみに、リコールの内容によっては対策品に変えていない(未改修)と、車検を通すことができないものもある。具体的にはSRSエアバッグの異常破裂のようなリコールや、重要な保安部品については、未改修のままだと車検を通すことができない。国土交通省の発表によると2019年11月だけでも車検を通せなかったケースは923件に上るそうだ。
リコールというのは保安基準を満たしていない状態であるから当然ともいえるが、その他のリコールではここまで厳しい措置は取られていない。先述のようにエアバッグ異常破裂は乗員の生命にかかわるからこそ、ここまで厳しい対応となっている特殊ケースだ。
とはいえ、リコールに対応することは所有者・使用者の責務でもある。リコール対応というのは気乗りがしないかもしれないが、もし連絡が来てしまったら、はやめに改修するようにしたい。そのほうが安心して乗れるので気持ちもいいはずだ。