掲示頻度が高いフラッグを把握しておく
サーキット走行では無線を搭載するような上位クラスのレースを除き、コース側とドライバーのコミュニケーション手段はひとつだけ。それが各ポスト(監視小屋)で提示される「フラッグ(旗)」だ。旗の色や掲示するポストの場所、さらにフラッグを振動または停止といった表示方法には、全国共通のルールが定められている。
それらをドライバーが熟知しているからこそ、安全かつ円滑にスポーツ走行を楽しめるというワケだ。これまでサーキットを走ったことのない未経験者はモチロン、走行会など何度か走ったことがある人も復習のつもりで読んでほしい。
・チェッカー
レースに限らず走行が終了するときの合図として必ず提示される、最も有名なフラッグの種類。メインポストにチェッカーフラッグが出たら、フィニッシュラインを通過したらクールダウンしながらピットに戻ろう。もし、フラッグを見落として走り続けるのはカッコ悪いし、レースならば「ダブルチェッカー」というペナルティの対象になる場合もある。
・イエロー
◎提示される場所:危険場所の手前のポスト
◎掲示頻度:★★★★
スピンした車両やクラッシュなど、コース上に何かしらの危険があるとき、そこに近いポストで振動しながら提示される。さらに危険度が高いときは同じ色の旗が2本に増え、いずれも速度を落として追い越しは禁止。ただし止まるような速度である必要はなく、周囲をよく見ながら常識的なスピードで走ろう。
・グリーン
◎提示される場所:危険な場所を過ぎたポスト
◎掲示頻度:★★★★
先述のイエローが解除されたことを指す。このフラッグを確認したら通常の速度に戻し、追い越しも可能となる。ただし危険そのものが消えたとは限らず、次の周回でも同じ場所でイエローが出ている可能性も高いので、コース状況をよく見極めながらフラッグに従うこと。
・レッド
コースを塞ぐようなクラッシュや、車両トラブルでオイルが広い範囲でコース上に撒かれた時など、走行を続けるのが困難なレベルの危険が発生したとき提示される。このフラッグを確認したら速やかに速度を落とし、いつでも停車できる態勢を整えてピットや定められた場所に戻らなければならない。当然ながらイエローと同様に追い越しも禁止。
・イエローとレッドの縦縞
◎提示される場所:滑りやすい場所の手前のポスト
◎掲示頻度:★★★
一般的にオイル旗と呼ばれるが、原因はオイルだけじゃない。コースアウトした車両が撒いた砂利、深い水たまりなど何かしらの理由で路面が滑りやすいと提示される。速度を落としたり追い越し禁止などの規定はないが、スリップに備え慎重に運転したい。
・ブラックにオレンジの丸
走行車両に何かしらの危険があるとき、当該ゼッケンと一緒に提示される、通称オレンジボール。オイル漏れやボンネットのロックがされていない、マフラーが外れているなど理由はさまざま。このフラッグを見て自分のゼッケン番号だったら、次の周にピットへ戻りオフシャルの指示に従おう。修理が終われば再びコースインしてOKだ。ただし、バックミラーで分かるレベルのオイル漏れなど、走行することで他車に迷惑をかけると思われれば、ピットではなくコース外の芝生など安全な場所に停止したほいがいい。
・ブルー
◎提示される場所:当該する車両が走行している近くのポスト
◎掲示頻度:★
後方から明らかに速度差のある車両が接近しており、「走行進路を譲りなさい」という意味で提示される。レースでなければまず使われることはない。同じタイミングに複数の車両がいる場合、指差しと併用される可能性もある。
・ホワイト
◎提示される場所:低速な車両がいる場所に近いポスト
◎掲示頻度:★★
何らかのトラブルで低速で走行している車両や、救急車やレッカー車が近くにいることを示す。このフラッグを見たら前方をよく確認し、注意しながら走行しなければならない。
・ブラック
レースで失格の裁定が下った車両に対し、該当車のゼッケン番号と一緒に提示される。このフラッグを確認したら速やかにピットへ戻って、オフィシャルの指示に従わなければならない。
・ブラックとホワイトの斜め
こちらもゼッケンと併せて提示されるフラッグ。悪質なブロックや接触など、スポーツマンシップに反する行為があった場合に出る。ペナルティではなくピットに戻る必要もないが、出されたら恥ずかしいフラッグの筆頭なので注意。使用されるのは主にレースで、走行会ではまず見ないはず。
・日の丸
レースの決勝がスタートするとき、稀に使われるのが日の丸の旗。現在はほとんどがメインポストの信号、赤のシグナルが消えたらスタートなので、見かける機会は少なくなった。