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「ドリフト禁止」サーキットが増加! ”スキール音”問題よりも重大な本当の理由

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web

タイヤや破損したエアロパーツをピットやパドックに放置したまま帰ったりする人も

 まずはマナーについて。サーキットの関係者や職員からよく聞くのは「不法投棄」の多さ。ドリフト走行の性質上、廃タイヤや破損したエアロパーツが出るのは仕方ない。問題はそれらを持ち帰って自分で処分せず、ピットやパドックに放置したまま帰ったりする人がいる。言語道断なのはサーキット会場の近くに破棄したりすることだ。

 サーキットとすれば、施設内であれば当然、敷地外でも、近隣からの苦情があれば回収し処分しなければならない。地域に根ざす企業として「ウチの敷地じゃないから関係ありません。お客さんが施設を出てからの行動も関係ないです」と、知らん顔を決め込むワケにはいかないのだ。それらの金銭的および精神的な負担は、決して商売だからとガマンできるレベルじゃないのは理解できるだろう。 また、ドリフトが多いコースでは、顧客サービスの一環としてタイヤチェンジャーを無料で使用できたり、工具を貸し出してくれる場合がある。常識を持ち合わせたドライバーならば元どおりにして返すのが当たり前。しかし「廃タイヤや工具が置きっ放し。こんな状況では貸し出しできません」といった、サーキット側が苦言を呈するSNSの投稿が目に付く。

 騒音に関してもタイヤが横滑りすることで起きる「スキール音」ばかり取り沙汰されるが、違法に改造したマフラーのクルマも他のカテゴリーより多い印象だ。特にドリフトは高回転域を連続して使うため、騒音が途切れず、サーキットの近くに住む住人にとっては迷惑なハナシ。しかも違法なマフラーを使うような輩ほど、一般道も爆音を撒き散らしながら走る傾向もある。

 サーキットも営利組織であるからお客さんを大事にして、ドリフトを続けさせたいのは当たり前だが、いち企業として地元と上手く付き合う必要もある。両者を天秤にかけた結果、ドリフトをやめなければ近隣住民との軋轢が増し営業そのものに支障が出る、と苦渋の判断を下さざるを得なかったのではないか。

 この問題に対し他のカテゴリーから「自業自得。注意しない他のドライバーも悪い」といった声もある。一般論でいえば確かにもっともだ。しかしマナーやモラルの欠片も持ち合わせない輩が、赤の他人から注意されて素直に聞き入れるとは思えないし、それどころか無視される可能性が高い。自分が同じ立場ならハッキリいって関わりたくないし、そこを責められるのはあまりにも酷である。

 もっともドリフトのマナーに関しては、ひと昔前よりだいぶ改善された実感はある。15年ほど前にあるドリフトがメインのサーキットイベントに行けば、半ソデ&サンダル履きに運転席の窓は全開。助手席どころか後部座席にまで人が乗って、ピットにはどう見ても飲んだばかりのビール缶、と呆れてモノも言えないシーンに直面したことがある。

 これらのマナー悪化は決してドリフトに限ったことではなく、他のイベントでも見受けられることであり、参加型モータースポーツのイメージがこれ以上悪くならないためにも見て見ぬふりをしてはいけないと思うのだ。

 当時でもそこまで酷いのはごく一部のドライバーだったが、主催者/サーキット/メディアによる啓蒙活動は、着実に浸透し意識の改善に繋がっていると思う。これ以上ドリフトを安全に楽しめるサーキットが減らさないために、関わる人それぞれがマナーとモラルの向上を呼びかけていきたいものだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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