人気が高まる車種のパターンは主に2つ
クルマを買う時に気になるのが、数年後の売却額。特に購入後3年程度で手放す場合、車種の人気次第で売却額が大きく変わるものだ。
例えば、トヨタ車を扱うセールスマンいわく「ランドクルーザープラドは、海外への中古車輸出も活発だから、業者同士が中古車を奪い合う状態になっています。そのために新車を購入して3年後に売れば、売却額は新車時の60〜70%に達する。値落ちがきわめて少ないモデルです」という。
一般的な乗用車の査定額は、購入後3年で新車価格の40〜50%。仮に300万円のクルマを買ったとして、3年後の査定額が新車時の40%なら120万円だが、60%になると180万円に高まる。査定額は長く使うほど安くなって車種による格差は小さくなるが、3〜5年程度で売却するならばクルマによる差額は逆に大きい。
トヨペット店のセールスマンは「ハイエースの中古車は、海外市場で人気が高いですね。走行距離が10万km以上で、荷室もキズだらけになった10年落ちの車両でも値段が付くし、程度が良ければ高値で売却できます。ハイエースは商用車なのに資産価値が高いため、法人のお客様にとっては都合が良い。いまだに売れ行きも好調です」と説明する。
以上のようにランドクルーザープラドやハイエースは、海外で人気が高く、中古車需要も多く高値で売却しやすいことがわかる。
希少な”MT”スポーツも高値傾向
また海外へ輸出されなくても、国内の中古車人気が高ければ、同様に好条件で売却できる。主に趣味性の強いスポーツモデルやSUVだ。
例えばホンダカーズ(ホンダの販売店)では「S660は新車価格の割に高値で下取り可能。フィットもRSの6速MTについては、高値で安定しています」という。
S660は軽自動車のスポーツカーで、中古車需要の多い車種ではないが、販売台数はそれ以上に少ない。2019年の新車販売台数は、1か月平均で約240台なので軽バン「N-BOX」の1%程度。結果、S660の中古車需要が流通量を上まわり、高値で取り引きされるようになった。
フィットRSの6速MTも同様。フィットの中古車は大量に流通するが、1.5リッターNAエンジンを搭載するRSの6速MTの新車販売台数は少ない。一方で運転の楽しいコンパクトカーだから、中古車需要は相応に多く、中古車価格と売却額を高めているわけだ。
ちなみに2月14日に発売を開始する新型フィットのエンジンは、1.3リッターと1.5リッターハイブリッドのみ。残念ながらスポーティな1.5リッターのエンジン車は廃止された。すなわち、新型に”RS”は用意されないため、今後従来型フィットRSの6速MTは、さらに好条件の売却が可能になるだろう。
このほかトヨタ・ハイラックスのようなピックアップトラック、例えばスズキ・ジムニーのようなコンパクトなオフロードSUVも好条件で手放せる。SUVは実用的なクルマだが、ハイラックスやジムニーは趣味性が強く、売れているとはいえ決して販売台数は多くない。販売店によるとホンダ・ヴェゼルやスズキ・ハスラーも、ホンダ・シャトルやスズキ・ワゴンRに比べると売却時の条件がいいと言う。
そして、新車を買うメリットは、車種やグレードからボディカラーまで自分好みで統一できること。本当はイエローの外装色が好きなのに、数年後の査定を気にしてブラックを選んだのでは、新車を購入する価値が薄れてしまう。
そのため査定に捕らわれた選び方は推奨しないが、選択に迷ったり、購入のヒントが欲しい時は、高値で手放せる車種や需要のあるボディカラーを検討する方法もあるだろう。