良かれと思った方法がアダとなるケース
「省燃費」にこだわるのは、環境や資源への配慮としてとても大切なことだ。まだまだ高値とはいえ、最近ではガソリン価格も高止まりなので、財布への負担軽減という点でも、燃費が向上するに越したことはない。
このようにエコ運転に対する意識が高まっているのはいいのだが、行き過ぎた、誤ったテクニックが見受けられるのも事実。正しい方法で行なわないとクルマそのものを痛めることになって、逆効果になることもある。今回は間違いがちなテクニックをまとめてみた。
タイヤの空気圧を高くしすぎる
タイヤの空気圧は燃費への影響しやすい重要なポイントで、高くすると接地面のたわみが減って、転がり抵抗が低減するのは事実。実際に燃費向上にも貢献するが、無闇に高くしすぎると、路面の接地部分が小さくなり偏摩耗が発生しやすく、ブレーキの効きやコーナリング性能が悪くなる。
ホイールの外径を大きくする”インチアップ”の場合は空気圧を高めにする必要があるものの、一般的には純正指定の1割増し程度にとどめておくのがいいだろう。もちろん、月に一度の空気チェックは忘れずに。
エンジンオイルを超低粘度タイプにする
オイルの硬さを表す”0W-20″や”5W-20″が主流だったが、いまや”0W-16″という非常に柔らかい(低粘度)省燃費オイルも見かけるようになった。いわゆる粘度を表す、後ろの数字がポイントになるのだが、例えば純正が”20″指定のクルマに粘度の低い16を入れるのは避けたほうがよく、30や40を指定している場合はもってのほかだ。
低粘度のオイルはシャバシャバなので抵抗が減って燃費はよくなるものの、エンジンの各パーツが金属接触しないようにする油膜の保持力が低いので、指定車種以外に入れてしまうとオイル消費が増えたり、エンジンパーツの摩耗などの弊害を生む。ちなみにエンジンパーツのクリアランスを広く設定している旧車や、走行距離が伸びてパーツの摩耗が進行してクルマは後ろ側の数字を少し高く(硬く)するのは問題ない。
下り坂でのニュートラル走行
アクセルを戻して惰性で走る、いわゆる「エンジンブレーキ」を多様するのが怖いという人がいる。ブ〜ンという”音”や”抵抗感”がその理由だが、自動車メーカーも”エンジンブレーキ”を想定して設計しているので問題はない。
また、エンジンの回転数が上がることで燃費に悪そうなイメージだが、省燃費という点で逆にエンジンブレーキは活用したほうがいい。理由は、アイドリングプラスアルファの回転以上でアクセルを戻すと、燃料がカットされるからだ。つまり、エンジンは回っていてもムダな燃料を一切使わないので、”理屈的”に燃費は無限大ということになる。
そのため、ニュートラル(Nレンジ)に戻してしまうと、アイドリングで走ることになり、燃料は使われるので燃費に影響してしまう。下り坂だけでなく、信号などでの減速でもエンジンブレーキは積極的に使うようにしたい。
ハイブリッド車はフットブレーキがベター
プリウスなどのハイブリッド車を含む、いわゆる電動車にもシフトポジションには”B”レンジがあり、エンジンブレーキみたいに抵抗が強くなり、減速のアシストになる。イメージとしては前項目のエンジンブレーキようなイメージで”回生ブレーキ”が働いて、充電が促進されるように感じるが、発電量の大きさで言うとフットブレーキを踏んだほうが多くなる。
理由は、ブレーキを踏むとアナログの油圧ブレーキが作動しているように思えるが、実際は協調制御で回生ブレーキを強くかけて減速されているため。イメージとしては、最後に止まるところだけアナログのブレーキがかっているだけと考えていい。
超ゆっくりな加速は逆効果
”ふんわりアクセル”とよく言われるので、アクセルをあまり踏まずにゆっくり走るのも燃費向上に効果的と思ってしまうが、必ずしもいいとは言い切れない。ゆっくりと走るということは後続車にも迷惑をかけるし、進む距離も少ないということもなる。
理想としては時速40キロまではスムーズに加速し、距離が稼げるギヤとエンジン回転でスピードを維持しながら走るのがいいだろう。”瞬間燃費計”などを頼りにベストな速度を探りながら走る。距離が稼げるからと言って、無用なアクセルの踏み込みやスピードの出しすぎは燃料消費が増えて意味はないのであしからず。
回転数を抑えた早めのシフトアップ
MTに限ったことになるが、当然ながらシフトアップせず無闇にエンジンを高回転まで引っ張りすぎるのは燃費にとってよくない。逆に早めにシフトアップすると低回転を維持できてよさそうだが、あまりエンジンの回転が低いとエンジンの力が引き出せないので、燃費に悪影響を及ぼしてしまう。そこそこの回転でテンポよくシフトは上げていくのがいい。
同じような理由で、シフトを1段飛ばしもいいとは言い切れないので注意が必要。いずれにしてもシフトアップして速度の伸びが鈍ったり、減速してしまうのはよくない(結果的にアクセルを踏みがち)。