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高級車のボディカラーに続々と採用! 「マットカラー(つや消し)」のメリット&デメリット

魅力は多いがメンテナンスに手間かかる

 ツヤツヤの光沢があるボディは高級感があって美しい。それは今も昔も変わらないけど、近年は逆に「マットカラー」を採用する高級車が増えている。わかりやすく言うと”ツヤ消し”と呼ばれたカラーで、そのメリットとデメリットを探ってみよう。

 マットカラーは決して最近の流行ではなく、じつは20〜25年前にカスタマムの世界でマットカラーを楽しんでいた時代があった。トヨタのカローラレビンやスプリンタートレノなど走り系のクルマが対象で、缶スプレーで塗装し、あえてチープさを演出していたもの。最近のマットカラーを採用するのは、マクラーレンやランボルギーニ、BMWにメルセデス・ベンツといった高級車が中心というわけで、当時とはまったく別モノだ。

 まずはマットカラーの魅力やメリットを挙げていこう。趣味嗜好は人によって異なるものの、他とは違う強烈な個性をアピールできるのは間違いない。また、高級車の大柄なボディをツヤ消しカラーにすることで、見た目の重厚感や迫力がアップしたような視覚的効果も生まれる。使用する塗料も当然ながら特殊で、塗膜に細かい凹凸を作って光を拡散させ、あえて光沢を消すという手法もそのひとつだ。手触りも独特で通常のボディカラーとは異なり、少しザラザラした感触なのも特徴だ。

特別感はお手入れだけじゃない

 続いてデメリットについて。よく耳にするのは「メンテナンスが面倒」ということ。表面に細かい凹凸があるので、通常の塗装に比べて汚れやホコリが付着しやすい。こう聞くと「汚れたら洗えばいいじゃないか」と思うかもしれないが、洗車も一般の塗装に比べると面倒だったりする。例えば、洗車機を使うとブラシが塗膜の凹凸をわずかながらも削り、わざわざ消したはずのツヤが少しずつ復活していく。汚れを付きにくくするワックスも同じで、凸凹しているがゆえにムラが出やすく、拭き取る時も洗車機と同じように部分的なツヤが出てしまう恐れがある。

 つまり、マットカラーのクルマは手洗いしかできず、しかも汚れが固着しないよう頻繁に洗車しなければならない。最近では、つや消しボディ専用のシャンプーやコーティング剤が販売されているものの、自分で洗車をするのは大変だし毎回プロに頼むのも予算がかかる。一般的な価格帯のクルマに採用されないのは、汚れがつきやすく、特別なメンテナンスも必要というのが理由だろう。また、鈑金塗装も通常色より手間がかかり、費用も高額になることも忘れてはいけない。

 とはいえ、人とは違うドレスアップの手法として、マットカラーを求める人も少なくないはず。そんな場合は塗装じゃなく「ラッピング」という手段がある。ツヤ消しカラーのカッティングシートをボディ全体に貼り付け、飽きたり売却するときは剥がすだけで元どおり。プロが自動車専用のカッティングシートを使えば、素人がパッと見て塗装との違いが分からないほどのクオリティだし、前述したようなメンテナンスの煩雑さとも無縁。ボディの保護にもなるため、マットクリアのシートを新車にラッピングする人もいる。

 マットカラーが純正で採用されるようになってから日は浅く、ツヤ消しを維持しつつ汚れが付きにくいコーティングなど、新しい技術や商品が少しずつ市場に出まわってきた。今後はより手軽にマットカラーを楽しめる時代が来るかもしれない。

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