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【意外と知らない交通ルール】道路のセンターライン「白色の実線と破線、黄色の実線はどう違う?」

白いセンターライン”はみ出し禁止”

 道路上には、クルマを縦1列で通行させる「白色」もしくは「黄色」の中央線(以下センターライン)や車線境界線などさまざまな線がある。日常的に見ている車線を区切る線(ライン)だが、同じ白いラインでも実線と破線では、示している意味が異なる。当然、道路交通法違反となることもあるから、ここでは改めてセンターラインや車両境界線などについて復習しよう。

 中央分離帯のない道路で、クルマの走行方向を区分するのが「センターライン」。センターラインが引かれる道路は、概ね1日に1000台以上の通行量がある幅5.5m以上の舗装された道路などの条件に合致するところ。線の種類は、『白の実線』、『白の破線』、そして『黄色の実線』という3つがあり、それぞれにルールが設定されている。なお、道路標示で規制されていることは、標識でも表していることも多いので、その確認も忘れず行ないたい。また、車道とは道路上に設けられたクルマが通行する空間という定義になっている。

 まずは実線のセンターラインだが、これは舗装された部分の片側幅が”6m以上”ある道路、または標識による”法定追い越し禁止”が設定されている区間に引かれる。つぎに破線だが、こちらは舗装された部分の片側幅が6m未満の道路に引かれており、道路の幅によって変わる。

 つぎにラインの”色”について。前記したように白と黄色があるが、そもそもセンターラインはクルマの『走行方向を区切るための目印』なので「白はOK」で「黄色はNG」と考えてしまいがちになるが、当然ながらどちらも線を越えてはいけない(対向車線に出る)。

 この点をもう少し説明しよう。まずは黄色センターラインから。黄色センターラインは1日あたりの交通量が多い道や事故などが起こりやすいと判断された道や見通しが悪い道路、勾配がきつい道路のうち、車線の幅が6m以下の車道に引かれるものだ。

 ちなみに「見通しが悪い」とは制限速度ごとに視認距離の設定があり、40km/h道路ではおおむね130m、50km/hはおおむね150m、60km/hはおおむね180m、70km/hではおおむね210mとなっている。

 黄色のセンターラインが示すのは「追い越しのための右側部分はみ出し禁止」というもの。すなわち、黄色センターラインが引いてある車道は道幅が狭いことが多いので、路上駐車や路肩の工事などを避けるときに”やむを得ず”センターラインを越えるのはOK。前車を追い越すためにセンターラインを越えるのはNGということだ。

 ちなみに路上駐車や工事区間などを避けることが違反にならない理由だが、これらは道路交通法において「障害物」の区分けなので横を通りぬけるときは「追い越し」ではなく「側方通過」になる。そんなことから「”追い越し”のためのはみ出し禁止」には該当しないというわけだ。

 また、この規制を強調したい区間では線を2本にする標示法も使われるので、そのような道を走るときは「厳重に注意喚起するほどの危険性がある」と考えて走行したい。

 つぎは片側(左半分)の幅が6m以上ある車道に引かれる実線の白色センターライン。白色ではイメージから「単なる車線の区分けではみ出ししてもOK」と思いがちだが、こちらも「はみ出しはNG」。しかも、黄色センターラインで違反から除外されていた”障害物の側方通過時のはみ出し”も禁止という厳しいものだ。

 白色センターラインのルールは”色”のイメージから間違って覚えている人が多く、ふだんから運転ルールを気にしている人でもうっかりの違反をしやすいところでもある。もし勘違いをしていた場合、この機会にしっかりと覚えていただきたい。

 

 続いて白色で破線(短い線の連続)のセンターライン。原則として片側幅が6m以下であり、交通量が比較的に少ない車道で見る機会が多く、他の車両を追い越すときにセンターラインから対向車線に”はみ出してもいい”となっているが、当然ながら無闇に走っていいという意味ではない。

 追い越しOKとはいえ、片側1車線道路で同一方向に進行しているクルマを追い越しするようなシーンはないだろう。無謀な追い越しはいらぬ軋轢を生むので、前走車が後続車に対して道を譲るような意識表示(ウインカーや手上げなど合図的なものがある)がない限り、追い越しは避けたほうがいい。そのようなことから、白色破線のセンターラインで追い越しができるのは、前走する自転車や原付バイクくらいになるだろう。

2車線以上の車道を区切る車両境界線

 センターラインのほかに車道(2車線以上)を区切るための「車線境界線」もある。ここでも白(実線と破線がある)と黄色の線(実線のみ)の使い分けがされており、最も見かける”白色破線”は文字どおり車線を区切るために引かれるもので車線変更はOKだ。

 一方の”白色実線”も車線変更はOKだが、破線に対して実線は車線の区分けを「より明確にする線の引き方」であるので、意味合い的には「車線変更をするときには注意をしたほうがいい」と取るべきものだ。

 そして黄色線の車線境界線。これは「進路変更規制標示」というもので、この線が引かれる区間の車線変更はNG。複数の車線がある交差点近くにも黄色の車線境界線を見かけるが、これも車線変更や線を跨ぐような走行は違反になってしまう。特に交差点での事故が多く、取り締まりも多いので十分に注意しておこう。

 また、自動車専用道路の合流区間などで白色、黄色の両方の線が使われているケースもある。この場合、自車が走行する側にある線の色に従うこととなる。例えば左車線側が黄色で右車線が白色の場合は、左車線を走行するクルマは車線変更禁止。つまり、右車線から左車線への車線変更のみがOKとなる。

 最後にもうひとつ。右折レーンが表れる前など、車線が増える直前に斜め白線(ゼブラ状)の区域が設定されていることもある。この印はクルマの流れを円滑にするために設けている「導流帯」というもの。混んでいる時間帯などでは、本線から導流帯上を通過して右折レーンへ出るクルマもあるが、センターラインを越えなければ導流帯を通ることは違反ではない。

 ただ、導流帯を守っていたクルマが指示どおりに右折レーンに入ることは予想されることなので、指示どおりに走るクルマの存在を意識して安全に進行するのは鉄則。ここでもし衝突事故が起きた場合、過失割合では導流帯を走ったほうがかなり悪くなるだろう。

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