愛車や目的に合わせたチョイスを
世の中には数え切れないほどのチューニングパーツが出まわっている。それらの効果やノーマルとの差を体感できるのは、クルマを限界域で走らせるサーキットだけじゃない。車種を問わず街乗りでも違いを感じやすい、オススメのアイテム5つをピックアップする。
ココで紹介するのは、見た目を良くするための”ドレスアップ”ではなく、あくまでも性能が向上する”チューニングパーツ”。つまり、クルマを走らせて初めて効果を体感できるアイテムに限定したい。
車高調(車高調整式サスペンション)
まずは、足まわりで「車高調」から説明しよう。ルックス重視のローダウンを目的に使っている人もいるが、本来はコーナリング性能や直進安定性を高めるスポーツカー向けのアイテム。最も違いが分かりやすいのはカーブで、ステアリングを切って発生する車体の傾き。いわゆるロール量が減ることで、走行安定性がアップする(車高を落としすぎるとロール量が大きくなるケースもある)。そのためカーブでの旋回速度が高まり(同じ速度ならノーマルより余裕が生まれる)、直進安定性やブレーキング時の安定感も増す。 ただし、性能を引き出すにはアライメントを含めたセッティングが欠かせず、段差を越えたときの突き上げが大きいなどといったマイナス面もあり得る。人によって感じ方は異なるものの、最近では乗り心地も考慮したストリート向けの車高調もあるので、チェックするといいだろう。
高性能タイヤ
次に、同じ足まわりに属するパーツとして「タイヤ」の体感度も非常に大きい。スポーツ走行に特化したハイグリップタイヤは、速度域の高いサーキットじゃないと本来の性能を感じ取るのは厳しいけど、ちょっと山道を走った程度でもグリップ力の高さは十分に感じられるはず。また、スポーツコンフォートタイヤなら、排水性や静粛性の高さは、ストリートでも感じられる。そもそもゴムで作られているタイヤは経年劣化による性能ダウンが大きく、同じ銘柄で同じサイズでも古く硬化したタイヤから新品に交換するだけで、まるでクルマが変わったかと錯覚するほどの違いを感じられる。 しかしながら、グリップ力を高めるためにタイヤを太くしすぎると轍にハンドルを取られたり、パワーが食われて加速が悪くなるなどのデメリットもあるので注意。クルマの特性やパワーにあわせたタイヤ性能も考慮すべき。
補強バー
続いては「補強バー」。開口部の広いスライドドアを持つミニバンや、元々のボディ剛性が高くない旧型車や過走行車ならば、たった1本の補強バーでフィーリングが変わり、直進安定性のアップやきしみ音の軽減を始めとした効果が得られることがある。 例えば、タワーバーやロワアームバーといったものだ。この補強バーは『過ぎたるは及ばざるがごとし』で、手当たりしだいに装着してもプラスになるとは限らないのも事実。ボディが硬くなりすぎてハンドル操作に対して、クルマの動きがシビアになったり、乗り心地が逆に悪化する可能性もあるのでほどほどに。
スポーツシート
室内に取り付けるパーツでいえば「シート」。近所の買い物くらいじゃ恩恵はないかもしれないが、長距離になればなるほど疲労は軽減される。近年こそマシになったものの、国産大衆車の純正シートのデキはイマイチであり、特に長距離ドライブすると疲れやすい人や腰痛に悩む人はその恩恵は高いだろう。 クッションの硬さや座面の形状を快適性に振ったリクライニング式のバケットシートは、個人的にも疲労度は出にくいと感じている。身体をしっかりとホールドすることで、クルマが揺れても支えようとする力がいらず、結果として疲れにくさに繋がっているのだ。人間工学に基づいて開発された、一流メーカー品を選ぼう。
エアロパーツ
最後は「エアロパーツ」。ドレスアップ効果を目的にしたモノは除き、空力を考慮して設計されたスポイラーや、フロア下に取り付けるアンダーパネル、ディフューザーは、ダウンフォースによる安定感や風切り音の減少などの恩恵を受けやすい。ただし、ある程度の速度域でなければ体感しにくく、一般道の常識的な速度域では厳しいかもしれない。 なお、一部のエアロパーツには冷却性能を高める効果もあり、ラジエーターに風がよく当たって水温が上昇するのを抑えられ、パワーダウンを感じにくいのも体感といえるだろうか。