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運転がうまい人ほど高く、苦手な人に足りない「先を読む」能力

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TEXT: 戸塚正人  PHOTO: 日産自動車、Auto Messe Web編集部

“かもしれない運転”で危険を回避

 免許更新時の交通安全講習会などで、たびたび耳にする“だろう運転”。これは、ドライバーが「大丈夫だろう」と、自分勝手で楽観的な解釈や予測で行動した結果、危険回避が遅れが原因の事故などを示す。とくにドライバーもクルマも玉石混淆。道路状況が刻一刻と変化する公道は、『先行車が急に止まるかもしれない』、『脇道から自転車や子供が飛び出してくるかもしれない』など、ある意味、サーキットと比較にならないほど多くの危険をはらんでいる。むしろネガティブ思考、 “かもしれない運転”を強く意識すべきなのだ。

 さらに「周囲のクルマとの協調も大事」と清水さん。いったいどういうことか?
「いつも心がけているのは、なるべく交通の流れを止めないこと。後続車だけでなく、対向車にもできるだけブレーキを踏ませないことを意識している。たとえば右左折。早めにウインカーを出して自分の行動(行き先)を明確に示すことで、後ろのクルマはアクセルを緩めるだけで無理なく減速できて、停止しなくてすむケースが多い。また、スピードを控えめに、車間距離を十分に保つことで、対向車線のクルマの右折を妨げず、その後ろにいるクルマにもブレーキを踏ませずにすむ」
 
 結果的に全体の流れをスムースに、多くのクルマに燃費(環境)面でのメリットをもたすことが可能となり、ガソリンスタンドやコンビニなどから出てくるクルマも滞りなく合流させることができるのだという。

すぐに実践できる1ランク上の運転テクニック

“先読み運転”などと聞くと、特別な感じがするが、難しいことではない。視点をできるだけ遠くに置き、速度や車間距離といった当たり前のルールを守り、多少なりとも他車を気遣った、余裕のある運転を心がければいい。
 今日からでもすぐに実践可能で、しかも公道を走るうえで不可欠な、モラルも含めた真のドライビングテクニックといっていいだろう。その時の清水さんのレクチャーは強く印象に残り、以降、筆者の運転に影響を与えたことはたしか。20年以上たった今も、その言葉のひとつひとつがよみがえり、おかげで派手な違反を犯すこともなく、無事故で至っている。

■Profile
清水和夫・しみずかずお
1954年生まれ 東京都出身 武蔵工業大学 電子通信工学科卒

 自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に、多方面のメディアで執筆。テレビ番組のコメンテーターやシンポジウムのファシリテーターとして出演するなど、国際派モータージャーナリストとして第一線で活躍する。元レーシングドライバーでもあり、全日本ツーリングカー選手権のほか、ニュルブルクリンク24時間レース、ル・マン24時間レースなど国内外の耐久レースに多数参戦。自動車総合誌CARトップでは“筑波サーキットテスト”のメインテスターとして、アクティブセーフティの観点から30有余年にわたって市販車の限界性能を検証。さらに、スポーツカーのドライビングレッスンや、安全運転講習会などのインストラクター業もこなすなど、幅広い活動を続けている。

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