仕事から遊びまで“軽トラ”を楽しむナニワ文化
クルマのカスタマイズが根付き、幅広いジャンルが存在する関西エリアの中でも、一際独自のカルチャーを生み出しているのが「軽トラック」のカスタムだ。「大阪オートメッセ2020(2月14日〜2月16日・インテックス大阪)」には、そんな関西ノリの「軽トラ」が一同に集結。注目のクルマを紹介しよう。
70〜80年代懐かしのロータスF1カラー
70年代から80年代にかけて、F1に参戦していたロータス・ワークスチームのメインスポンサーが、イギリスのたばこブランド「JPS(ジョン・プレイヤー・スペシャル)」だった。そんな往年のカラーリングを施したのが、関西を拠点とするカスタムパーツメーカー「K-BREAK(ケーブレイク)が製作した「ダイハツ・ハイゼット ジャンボ」と「スズキ・スーパーキャリイ」だ。
50歳代以上のクルマ好きが「懐かしい」と叫んでしまうような遊び心満点の2台。ブラックのボディカラーに、カッティングシートを駆使したゴールドのロゴがうまくマッチし、当時活躍したレーシングマシンのような雰囲気を醸し出す。
外装には、K-BREAKオリジナル「BABY GANG」ブランドのエアロパーツを装着。フロントはリップスポイラーやアイライン、ボディサイドにはオーバーフェンダーやサイドパネル、リアにはテールカバーやロールバー、荷台ゲートやルーフ後部にウイングでカスタマイズ。足回りはオリジナルの「短足」車高調をセットし、ローダウンさせた。
製作したK-BREAKの大林代表によると、「最近(軽トラック・カスタム好きユーザーの間で)、昔のレーシングカーのカラーを愛車に取り入れることが流行り始めている」という。特に、”JSP”や”elf(フランスのオイルブランド)”のカラーやロゴは、40歳代後半から50歳代のクルマ好きにとって、若き日にレースやクルマに興味を持ち始めるきっかけとなった絶好のアイコン。そこで、軽トラックを楽しむ新たな提案として、当時のF1マシンのカラーリングをイメージしつつ製作したのがこれら2台なのだ。
軽トラックのジャンルでカスタムベース車両として大きな人気を得るハイゼット ジャンボとスーパーキャリイの2台を同仕様で展示することで、「自分が乗っているクルマでもできそうだ」といった、ユーザーにより身近な感じを出すことも考慮。かくいう50歳半ばの筆者も、当時を知る「ど真ん中」世代。懐かしさと楽しさを存分に味わえた2台だった。
軽トラックにホンダのVTECエンジン換装
軽トラックのカスタマイズを手掛ける老舗として、関西で有名な「翔プロデュース」でも様々なカスタム軽トラックを展示。ひと際目を引いていたのが、1990年代後半のホンダ・シビックタイプR(EK9)に搭載していた”B16B”エンジンを搭載したスズキ・スーパーキャリイだ。
2WD(FR)仕様のスーパーキャリイをベースに、赤いエンジンヘッドカバーが象徴的な”B16B”を搭載し、MR(ミッドシップ)駆動に変更。純正の最高出力50ps(3気筒)に対して185ps(1.6リッター/4気筒)を発揮。800kgにも満たない軽量ボディを考えると、いかに凄まじいということが容易に想像できる。
外装は、オリジナルのフロントバンパーやボンネット部の3Dバッドフェイスカバー、サイドステップやオーバーフェンダー、リアバンパーや荷台カバーなどを装備。低く落とした車高と相まって、スポーティな雰囲気も満点だ。
また、ブースには、ダイハツ・ハイジェット ジャンボのカスタム仕様車も展示。外装はフロントバンパーやバッドフェイスボンネット、サイドステップ、オーバーフェンダー、リアバンパーなどオリジナルパーツでドッシリしたフォルムを手に入れた。さらに17インチのホイールやエアサスでローフォルムを実現し、スポーティなイメージも加味している。
他にも、翔プロデュースでは、ハーフエアロでシンプルなスタイルにしたハイゼット ジャンボやスーパーキャリイも展示。ユーザーの好みに合わせた幅広いアレンジができるのも魅力だ。
金岡代表によると、ユーザーには「職人さんや農家の方などが仕事で使いながら、普段の足や遊びにも乗る」というケースが多いという。年齢層も若者から60歳代まで幅広いということで、関西では軽トラ・カスタムが多くの人たちに認知。ここまでハードな仕様ではないといえ、いかに好まれているかが窺える。
最近では「関東や東北からの問い合わせも増えている」(金岡代表談)という関西の軽トラ・カスタム。日本独自の「軽トラック」というクルマを、仕事から遊びまで使うという関西カルチャーは、これから徐々に全国区になってくるのかもしれない。