質感にこだわるWRX S4とBRZのコンセプトカー
大阪市インテックス大阪で開催されている「大阪オートメッセ2020」のSUBARUブースには、2ドアスポーツのBRZ、4ドアセダンのWRX S4をベースにした「Sport GTコンセプト」が展示されていた。それぞれ、SUBARUのワークスチューンメーカー「STI」が手掛けた、市販モデルのSTI Sportをベースにカスタマイズされたコンセプトモデルだ。いずれのモデルにもGTコンセプトという名がついているが、実は意味合いは異なる。そのあたりを詳しく紹介しよう。
気持ちよい走りを追究したグランドツーリング
WRX S4 STI SportGTコンセプトは、WRX S4の快適性と安全性はそのままに、セダンでもより気持ちよく“グランドツーリング(GT)”性能を追求したことから「GTコンセプト」と名付けられている。
煌びやかなブルーのボディカラーは「ギャラクティックWRブルーメタリック」という特別塗装色。第3世代のWRブルーとして新たな提案で、SUBARUらしさを象徴する星空の輝きを表現したそうだ。あくまで参考出品とのことだが、反応次第では市販化も検討しているそうだ。
STI製のアンダースポイラーは形状こそ市販仕様と同一だが、SシリーズやWRX S4 tSといったコンプリートカー用と同じく、グロスブラック仕様となっており、前述の車体色を際立たせている。他にもカーボン製の大型ウイングやトランクリップスポイラー、BBS製鍛造19インチホイールなどS4に対応する市販のSTIパフォーマンスパーツがふんだんに装着されている。
走りの面では上質でスポーティなSシリーズを超える乗り味をコンセプトとしており、市販されていないスペシャルアイテムも装備。限定モデルのS209で採用された「フレキシブルリヤドロースティフナー」は国内仕様ではコンプリートカーにも装備されない注目のアイテムだ。
WRX S4 STI Sport GTコンセプトではリヤサスペンションの追従性にこだわり、フロント周りのフレキシブルタワーバー、フレキシブルドロースティフナーに加え、フレキシブルサポートサブフレームリヤと国内初お目見えのフレキシブルリヤドロースティフナーの組み合わせを採用したとのこと。
さらに、フロントブレーキにはWRX S4では初めてブレンボ製6POTキャリパーを採用。圧倒的なストッピングパワーと剛性感やペダルタッチといったブレーキフィーリングにもこだわっている。
インテリアはトータルカラーコーディネートにこだわり、全体をシックなモノトーンにまとめ、シートがガラスを通し外から見える印象も含めて考えられているという。このカラーコーディネートには走りを追求した性能を引き立てる秘密も込められているそうで、モノトーンでまとめることで、運転中に視界に入る情報を必要なものだけに絞り、運転に集中できるようにしたという狙いもあるとのこと。
全体を落ち着いた大人の印象としながらも、ドアを開けた時のインパクトも考慮。レカロ製シートのサイドサポート部のドア側ファスナーにレッドを添えたアクセントとRECAROロゴを配置する演出も見逃せない。
SUPER GTマシンの技術を取り入れたBRZ
もう一台のGTコンセプト「BRZ STI Sport GTコンセプト」は、SUPER GT BRZ GT300マシンで得られた知見を活かしたアイテムが数多く装備されている。レーシングマシンをオマージュしていることから“GTコンセプト”と名付けられている。
GTマシンのイメージを彷彿とさせるエクステリアは、S4のGTコンセプトと同じまばゆいギャラクティックWRブルーメタリックのボディカラーに、参考出品のSTIエアロパーツをふんだんに装備する。
フロントに大きくせり出している新デザインのフロントアンダースポイラーは、スポイラー裏側の空気の流れも考慮して、バンパー裏側からアンダーカバーを巻き込むような形状となっている。フロントバンパーサイドにはカナードを装備。フロントの接地性を高めホイールが巻き込む空気の流れをも考慮したレイアウトだ。
一方、リヤ周りでもっとも注目したいスワンネックタイプのGTウイング。SUPER GTに参戦するBRZ GT300を意識したもので、もちろんデザイン性だけでなく翼断面のカタチやウイング下側の空気の流れは実戦で得たノウハウを考慮した形状にしているいるそうだ。
足まわりは、SUBARUの国内モデル初となるマットブロンズカラーを採用したBBS製18インチ鍛造ホイールを装備。BBSのRE-Vホイールをベースにボディカラーにもマッチする専用色としている。また、タイヤは、ダンロップのディレッツァを装着。BBSホイールにダンロップ・タイヤは、SUPER GTマシンのサプライヤーと同じ組み合わせだ。
排気系にも手が入り、試作のSTI製チタンマフラーは排気効率に加え、軽量化にも大きく貢献。マフラー単体でなんと約6.8kgという驚きの軽さだ。
インテリアは、レカロ製シートを装備し、WRX S4 STI Sport GTコンセプトと同じカラーコーディネートでまとめている。ただ、BRZ STI Sport GTコンセプトと異なるのは、ドアスピーカーまわりやセンターコンソールサイドに明るめのシルバー系のレザーをアクセントとして使用。ドアを開けた時の華やかさを演出しながらも、運転中には視界に入ることがほとんどない場所ということもあり、運転に集中できるというこだわりも秘められているそうだ。
グランドツーリング性能を追求したWRX S4 STI Sportコンセプト、SUPER GTのテイストとふんだんに盛り込んだ究極のBRZ STI Sport GTコンセプト。いずれも完成度が高いコンセプトカーということもあり、市販化を期待したい仕上がりだ。