衝突被害軽減ブレーキは万能ではない
衝突被害軽減ブレーキ、俗に言う自動ブレーキは、実は必ずしも万能ではないことをご存じだろうか。メーカーや車種毎のシステムによって多少違いはあるが、なかには常に「作動するとは限らない」ものもあるのだ。そのような“知らない”と大事故にも繫がる自動ブレーキの“落とし穴”について解説する。
いまでは乗用車だけでなく軽トラックから大型バスまでほとんどの新車に装着され、クルマにとって必需品ともいえる衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)。今後は新車への装着義務化も予定されている。
そもそも衝突被害軽減ブレーキとは、クルマに搭載するカメラやセンサーなどで前方を監視し、障害物や歩行者などとの衝突が避けられないと判断すると、ドライバーの操作がなくても自らブレーキを作動させて減速するというもの。これにより、衝突を回避、もしくは減速によって衝突時のエネルギーを減らすことで被害を軽減するものだ。
このシステムでドライバーのミスをフォローしてもらい、衝突事故を回避できた経験があるドライバーも多くいるだろう。また、SUBARUがかつてまとめた統計によると、同社のシステム「アイサイト」の装着車は非搭載車に比べて車両同士の事故を約8割、対歩行者でも約5割低減できたという。
しかし、そんな事故防止に大きな力を発揮する先進のドライバーサポートシステムも常に効果を発揮できるわけではない。状況によっては作動しないこともあるのだ。ドライバーとしては、システムがすべてをフォローしてくれると安心せず、作動しない状況があり、それはどんな場合なのかをしっかりと知っておく必要があるのは言うまでもない。
そういった状況はメーカーや組み合わせるシステムごとに細かい違いもあるのだが、今回は初級編として基礎的な5つの「作動しない状況」をお伝えしよう。