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トヨタの秘蔵っ子「GRヤリス」世界戦実戦デビューに向けた興味津々の足跡を辿る

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了、トヨタ自動車、Auto Messe Web編集部

大阪オートメッセでは数バリエーション展示

 ファンが待ち望んでいた正式発表は、予定通り1月10日、東京オートサロン2020の初日に実施。そして翌月の大阪オートメッセには、レッドカラーのGRヤリスが展示されました。

 さらに、ラリーコンセプトモデルとアンダーボディのパワー駆動系テクニカル展示もありました。

 さて、GRヤリス最大の特徴は、量販モデルにはない3ドア・ハッチバックというボディ形状と1.6リッター直列3気筒直噴ターボの「G16E-GTS」エンジン。そして駆動システムに”GR-FOUR”と呼ばれる新開発のスポーツ4WDシステムでしょう。

 チェックすべきは、272馬力の最高出力に対して車両重量は1280㎏というパフォーマンスデータ。パワーウェイトレシオは約4.7kg/馬力と高いレベルを達成していることでしょう。

 

“Vits GRMN”より大幅にレベルアップ

 先代のヤリス/ヴィッツにも”GRMNバージョン”と呼ばれるWRC用のホモロゲーションモデルを用意。こちらは1.5リッターの1NZ-FEエンジンにターボを組み合わせた152馬力ユニット(GRMN Turbo)や、1.8リッター直4の2ZR-FEエンジンにスーパーチャージャーを装着した212馬力ユニット(GRMN)を搭載していました。

 どちらも既製のエンジンをチューンしたもので、今回のGRヤリスように全くの新規開発エンジンではなく、スペック的にもまだまだ“従順しい”もの。駆動系も量販車と同じFFであり、全日本ラリー選手権でも総合優勝には手が届かず、下位のクラス優勝を争うだけでしかありませんでした。

 しかし、今回登場したGRヤリスは、総合優勝を争うに十分なスペックを確保。国内レースの最高峰であるスーパー耐久シリーズでも同様の様相です。GRヤリスはこれまで実力を示してきたラン・エボやスバルWRXと同じST2クラスに編入され、総合でもより上位を争うことを期待されているのです。

トヨタ/TGRの狙いは?

 近年、「トヨタ/TGR」は精力的にラリーのサポートを実施。ヤリスによるWRC参戦だけでなく、TMGを介してGr.R1規定の「ヤリス R1」やGr.R3規定の「GT86 CS-R3」など、カスタマー向けのラリー競技車両を販売してきました。

 先に触れたように日本国内でもVits GRMN(のラリー仕様)を全日本ラリー参戦者に供給するなど、そのサポートは多岐に及んでいます。最近ではFIA-GT3やFIA-GT-4、あるいはTCRといった市販の競技車両によるサーキットレースが盛り上がりをみせており、トヨタ/TGRはその流れをラリーにおいても実現しようとしているのではないでしょうか。

 大阪オートメッセでのラリー仕様と思しき展示車両は“GRヤリス RALLY CONCEPT”とされており、詳細なスペックなどはまだ未発表でしたが、期待は高まるばかりです。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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