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【初めてのサーキット走行】失敗談から学ぶ 、楽しく走るために知っておきたいこと

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

街乗りとは負担が異なるために必要な心がけ

 待ちに待った初のサーキット走行。しかし勝手が分からないだけに、致命的なミスとまではいかないけど、欲求不満で終わったり、苦い経験をした人も少なくないはず。先輩たちと同じ轍を踏まないよう、彼らが経験した失敗談を紹介したい。

 どんなに速い人だろうとレーシングドライバーだろうと、最初はみんなビギナーでそれなりに失敗もする。それを怖がってばかりじゃ仕方ないけど、せっかくお金を払ってサーキットを走るんだから、楽しい思い出を多く残したいのが当たり前。ココで挙げる初心者にありがちな失敗は、大半が『事前の準備』を怠ったことが原因だ。具体例を挙げて紹介するので、未経験者はモチロン「そろそろ慣れたかな」と思う人も、初心に立ち返って熟読して欲しい。

 まずは「ブレーキパッドやタイヤの残量が少なかった」という事例。サーキット走行は思った以上にクルマへの負担が大きく、タイヤやブレーキパッドの減りも街乗りとは比較にならないほど早い。自分では間に合うと思っていたが想定以上に摩耗して、走行を途中であきらめた、なんて人はデビュー時に限らず多くいる。上級者になればタイヤやブレーキを労わる走り方も身に付くが、ビギナーにそれを求めるのは酷なハナシ。なのでブレーキパッドの残量は走行する1週間前くらいを目安にチェックし、最低でも半分くらい残っていなければ新品に交換、またはスペアを持って行くよう心がけたい。

 ふたつめはタイヤ。知ってのとおりタイヤは、製造してからの年数や紫外線、雨などの影響で性能は低下する。どれだけハイグリップタイヤであっても、劣化したタイヤは本来の性能を発揮できないし、雨が降ったり路面温度が低いときはさらに危険。サイドウォールに刻印されている製造年週、またヒビ割れや異物が刺さっていないか念入りに確認し、不安があれば信頼できるプロショップに相談しよう。タイヤの異常は事故に直結するので特に気を付けたい。

 続いては水温や油温。上で書いたようにサーキットはクルマに大きな負担がかかり、オイルやクーラントの温度も相当に高くなる。最初から大容量ラジエーターやオイルクーラーを装着するのは予算的に厳しく、気が付いたらオーバーヒートなんて例も決して珍しくない。走行前にエンジンやブレーキのオイル交換は当然として、クーラントも古くなっていれば入れ替えたり、水温計や油温計を付けて温度をマメに確認するクセを付けたい。

 次は持ち物について。サーキットでは不測の事態が起きることも多々あり、現場で何かしら作業の必要に迫られるケースがある。そこで、ジャッキやクロスレンチといったタイヤを脱着する工具、ウェスやパーツクリーナーといった最低限の道具、そして予備の油脂類に可能ならばタイヤやブレーキパッドは、決して「誰か持っているだろう」と油断せず各自で用意するように。その日の走行をキャンセルするだけならまだしも、自走で帰れなければレッカー代など別な費用が発生してしまう。

 最後は夢中になりすぎたことによる失敗。どんどんペースが上がってコントロールできない速度に達しクラッシュ、なんて話は初回に限らずビギナーにありがちな失敗例だ。「慣れたと思ったころがイチバン危ない」という教訓を忘れずに、身体も心もクルマも適度にクーリングを挟みつつ、事故を起こすことなく初のサーキットを満喫し、その魅力を他の未経験者に伝えてもらいたい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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