ガソリンを使わないEVが魅力となる
クルマの燃費が向上し、なかには満タンで1000kmも走れる時代になった。結果、ガソリンスタンドでの給油回数が減り、前回入れた燃料がタンクに入ったまま月日が過ぎることも起きているだろう。
特に、電動化のなかでも「プラグインハイブリッド車(PHEV)」になると、日常的には充電した電気だけでモーター走行できるため、充電し損なったとか、久しぶりの遠出というケースを除いてエンジン始動しないことも考えられる。
石油元売り会社では、ガソリン、軽油、灯油などの場合、気温の変化が少ない冷暗な場所での保管であれば半年程度は使用しても問題ないと考えられる(JXTGエネルギー・よくある質問)と回答している。ただし、品質を保証するものではないとの注釈付きだ。
燃料は「できるだけ早く使う」が基本
クルマの燃料タンクは、上記回答にあるような”気温の変化が少ない冷暗な場所”にはない。燃料油(ガソリン、軽油、灯油など)は、光、温度、水分、空気との接触などによって品質変化の影響を受けやすく、温度変化や空気との接触は燃料タンク内で起きているし、湿度を含んだ空気もタンク内に存在するため、水分が加わる可能性もある。ガソリンも軽油も、放置すればいずれは酸化による劣化が起こり、粘りが出て燃料系統(フィルターや配管、燃料噴射装置など)に詰まるような不具合を生じる懸念も出る。
すなわち、燃料は「できるだけ早く使う」が基本であろう。そのうえで、どれくらいの期間ならばエンジンに支障がないのだろうか。
PHEVを販売している自動車メーカーに聞くと、三菱自は「アウトランダーPHEV」について、約3か月給油が確認されなかった場合は、EVモードが自動的に解除され、エンジンを始動する機能を初期型から採用。それは現行車も同様であるという。
トヨタのプリウスPHVは、燃料劣化の試験を社内で行ないながら、18か月間(7リッター以上)の給油がなされない場合、イグニッションスイッチを入れたあとメーターに6秒間「長期間燃料が補給されていません。燃料を補給してください」とのメッセージが表示されるようになっているそうだ。
また、顧客用の取扱説明書によると「12か月ごとに20リッター以上のガソリンを補給」(12か月間の合計給油量を20L以上にする)することを促している。
輸入車では、BMWのi3にレンジエクステンダー仕様というガソリンで動く発電機が搭載される。必ずということではないが、月に1回はエンジンを回すよう案内しているとのこと。自動車メーカーでも、以上のような対応策としてアナウンスしているわけだ。
PHEVやレンジエクステンダーなど、電気自動車(EV)以外の電動車両を使う場合、たとえば普段は燃料を満タンにしないとか、長距離移動が予想されるときに燃料を入れるなど、燃料をタンク内に保管し続けない発想が求められるかもしれない。
となると、いっそEVを購入したほうが余計な気遣いをせずに済むともいえるのではないだろうか。