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昭和の東京オリンピックをクルマで振り返る!旧車イベントで見付けた奇想天外なドイツ車

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了

ヒストリックカーの人気衰えず「Nostalgic 2days」

 2月22日(土曜)~23日(日曜)の2日間、神奈川県横浜市のみなとみらい地区にあるパシフィコ横浜では年初恒例となったヒストリックカー・イベント、Nostalgic 2days(N2d)が行われました。『日本最大級のクラシックモーターショー』を謳う同イベントは、今回で12回目。会場もBホールが加わり全3ホールを使用してパワーアップ。ですが残念ながら新型コロナウィルスが猛威を振るっていることから、一部の出展社が出店を取りやめたり、また予定されていたイベントが一部中止となる、といった影響もありました。

 初日の22日(土曜日)は1万2000人余りのファンが来場。2日目の23日(日曜日)には昨年を上回る1万6000人を超えて2日間合計の入場者は2万8288人を数え、ヒストリックカーの、根強い人気を伺わせることとなりました。

1964年東京オリンピック・イヤーのクルマあれこれ

 今年の夏には東京オリンピック/パラリンピックが開催予定ですが、今回のN2dでは『1964企画展』と銘打った特別展示が行われていました。これは前回の東京オリンピックが開催された1964年のトピックを、クルマとともに紹介しようというものです。まず東京オリンピックに関しては、日産と合併する前のプリンス自動車工業が提供、オリンピック公用車として使用されたプリンス・グロリアが展示され、聖火リレーに使用されたトーチとともに当時の感動を伝えていました。

 また、国産初のF1GPマシンとしてドイツGPにデビューしたホンダのRA271や、第2回日本グランプリで歴史に残る名勝負を演じたポルシェ・カレラGTSとプリンス・スカイラインGTなどが展示されていました。

 その第2回日本グランプリのGT-IIレースで2位入賞した砂子義一さんはレジェンドドライバーとして、このN2dには昨年まで皆勤賞でしたが、残念ながら今年1月に永眠されてしまいました。砂子さんが第2回日本グランプリでドライブされたスカイラインGT(レプリカ)の前にはメッセージボードが用意されていて、多くのファンが砂子さんに贈る言葉を熱心に書き込んでいました。

背中合わせのシートの間にエンジンを中央搭載したMR

 クルマに関する年頭のイベントというと、その前の週に開催された大阪オートメッセなども有名ですが、このN2dには『「出会える」「買える」「楽しめる」日本最大級のクラシックモーターショー』とのサブタイトルがつけられています。

「出会える」に関して個人的にも大きな出会い(再会?)が今年の展示にはありました。それは特別展時の一つである『選ばれし10台』の中の1台、1957年式のツェンダップ・ヤヌス。

 ツェンダップ・ヤヌスはオートバイメーカーとして知られるドイツのツェンダップ社が戦後(1957~58年)に生産していたマイクロカー。前後対称なデザインとともに、250㏄ほどの2ストローク単気筒エンジンをミッドシップに搭載していたことが大きな特徴です。そして後輪を駆動していました。

 このエンジンを挟むようにして背中合わせに前後のシートが装着されているというパッケージも、はたまた前後のドアから入り込むこともユニークです。量販車としては世界初のミッドシップカー、ということになります。

 

 海外の博物館では何度か見かけたことがありましたが、国内で見たのはこれが初めて。オーナーさんと話も弾み、取材の仕事はどこへやら、「楽しめる」も実感することができました。

ミラージュの稀有なデザインのアルミホイール

 他にも81年式の三菱ミラージュ1600GTなど珍しいクルマも少なからず。というのも、初代ミラージュに用意されていた純正アルミホイールは、ディッシュ・タイプとスポーク・タイプを掛け合わせたような、独特のデザインです。

 クルマのホイール製品の歴史上でも、純正だけでなくアフターマーケット品を探してみても、とても珍しいデザイン。初代ミラージュの斬新なルックスに一役買っていたのですから、ミラージュファンにとっては感涙ものでした!

 一方「買える」=トレードショーの側面を持つこともN2dの大きな特徴となっています。

「(販売されるクルマの値段が)高くなったねぇ!」との会話も先々で繰り返されましたが、価格は需要と供給の関係で決められる“商いの法則”通りで、まぁ想定内だろうなというレベル、市場の活性が見てとれます。

 会場の一角では恒例となったスワップミート(個人出店ブース)が実施されます。スワップミートは日曜限りのコンテンツで、取材した土曜日は開店前の状況でしたが、出展者が翌日に向けて準備をしながら“お隣さん”と盛り上がっている微笑ましい風景も見受けられました。キーホルダーなどのグッズも多くのブースで豊富に販売されていて、大人だけでなくちびっ子たちにも「買える」、そして「楽しめる」イベントになっておりました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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