「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」
3月3日、新たな「道路交通法改正案」が閣議決定された。内容は「あおり運転の厳罰化」や「高齢ドライバーへの実車試験の新設」などで、通常国会で成立すれば前者の厳罰化は2020年夏前に始まり、後者についてもは2022年には導入される予定だ。
あおり運転については、「他のクルマの通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせる恐れのある行為」と規定。前方のクルマへの著しい接近や、急な進路変更などを繰り返し行なった場合が対象となる。
罰則は、あおり運転を巡る事件に適用している刑法の「暴行罪(2年以下の懲役など)」や「威力業務妨害罪(3年以下の懲役など)」との調整を図り、高速道路で他のクルマを停車させるなど「著しい交通の危険」を生じさせた場合は、さらに重い「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」となる。同時に「行政処分」も見直され、あおり運転として摘発されると、即時に「免許取り消し処分」。免許を再取得できない欠格期間は2~3年程度となる見通しだ。
あおり運転となる主な違反行為としては、「不必要な急ブレーキ」「前方の車に著しく接近」「急な進路変更」「左側からの追い越し」「執拗なクラクション、パッシング」「幅寄せや蛇行運転」「高速道路での最低速度違反、駐停車違反」などとなっている。
75歳以上は「実証試験義務化」へ
また、警察庁は重大事故が相次ぐ高齢ドライバー対策として、認知機能検査の対象年齢に合わせて「75歳以上」に対して実車の実証試験義務化を決めた。
法案として、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに対して免許更新時の実車試験を受けさせるというもの。違反歴は、大幅な速度超過や信号無視などを想定し、試験で技能が不十分とされれば更新できないものの、免許更新期間の満了日前6カ月以内なら繰り返し実車試験を受けられる。
法改正に伴い、70歳以上に行っている高齢者講習の実車指導でも運転技能をテストし、結果を本人に通知する制度をスタート。免許取り消しにはつながらないが、技能を本人に自覚してもらうことを制度化するという。
また、自動ブレーキなどが付いた安全運転サポート車に限って運転できる「サポカー限定免許」も新たに創設。サポカーの定義については今後定める予定だ。
ちなみに新しい道路交通法の法案には、ドライバー不足の解消が目的のために、バスやタクシーの運転に必要な「2種免許」の受験資格の緩和も盛り込まれた。新たな教習カリキュラムの修了を条件に、年齢要件を「19歳以上」に、経験年数要件を普通免許保有「1年以上」に改められる。2022年の施行を目指し、こちらも国会での成立を目指していく。
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