輸入セダンのなかでは傑出したパフォーマンス
アルファロメオは、創立110年を迎えたのを機に、同社のルーツに立ち返るべくモータースポーツ史のレジェンドモデルである「ジュリアGTA」および「ジュリアGTAm」を復活させた。3月6日から予約開始となり、生産台数は全世界で合計500台限定。レアモデルとして、アルファロメオファンならずとも注目の1台となる。
GTAとは、”Gran Turismo Alleggerita(グランツーリスモ アレジェリータ)”の略で、アルファロメオのファンならば、その起源が1965年に登場したジュリア スプリントGTAまで遡ることはご存知だろう。1960年代から70年代初頭のレースシーンを席巻し、アルファロメオのイメージアップに大きく貢献。以来、GTAはアルファロメオのスポーティさを表現するアイコンとなり、GTAという名前を聞くだけで、アルファロメオのスポーティなクルマを想起するようになった。
新型のジュリアGTAが、そうした系譜に基づくモデルであることは言うまでもない。ベースとなっているのは、ニュルブルクリンク北コースで7分32秒という量産4ドアセダン世界最速(2016年当時)を叩き出した、ジュリア クアドリフォリオだ。最高出力510馬力を発生する2.9リッターV6ターボエンジンを搭載し、輸入セダンのなかでは傑出したパフォーマンスを誇る。
ジュリアGTAの開発にあたりアルファロメオのエンジニアは、初代ジュリアGTAと同じく軽量化に注力。エンジンやドア、サスペンションに軽量なアルミニウム材を採用し、さらにドライブシャフト、ボンネット、ルーフ、フロントバンパー、フロントホイールアーチ、リヤホイールアーチインサートにカーボンファイバーなどの軽量素材を広範囲にわたって採用。約100kgにおよぶ軽量化を達成し、車重は約1520kgまで削ぎ落とされている。
さらに、派生モデルの「GTAm(m = モディファイド)」では、サベルト製の6点式シートベルトを備えるスポーツシートのシェルに至るまでカーボン製を採用。
走りへのこだわりは、車重の軽さだけでなく、ダウンォース向上を狙ったエアロダイナミクスの追求にも見て取れる。サイドスカート、専用リヤスポイラー、アクティブフロントスプリッターには、F1から直接フィードバックされたノウハウが採用されている。
この「ザウバーエアロキット」により、アルファロメオならではのスポーツ性、そして美しさがさらに際立っている。後ろ姿もGTAならではのもので、カーボンファイバー製のリヤディフューザーと一体化された「アクラポヴィッチ」製のチタニウムエキゾーストシステムによって、アグレッシブなイメージを強調させた。
インテリアは、ドアパネル、シート、ウィンドウはベースモデルと同様となるが、GTAmではダッシュボード、グローブボックス、サイドピラー、シートのセンタートリムなどにアルカンターラを採用してスペシャルなムードを演出。さらにロールバーが設置され、リヤシートを排した2シーターとし、そこにはヘルメットと消火器を格納するためのスペースが設けられるなど、モータースポーツに由来するディテールに仕上げられている。
最後に気になる心臓部である2.9リッターV6ターボエンジンは、最高出力がベース車から30馬力増しの540馬力へ向上。約100kgにおよぶ軽量化の恩恵もあり、パワーウエイトレシオは2.81kg/psを達成し、ローンチコントロールシステムによって、0〜100km加速はわずか3.6秒というハイパフォーマンスを発揮する。
くわえて、サスペンションシステムには新設計のスプリングやショックアブソーバー、ブッシュを採用し、高速走行時のハンドリング性能も大きく引き上げられた。
ジュリアGTAおよびGTAmは、合計500台の限定生産で、認定シリアルナンバーが付与される。そのうえオーナーには、GTAカラーに塗装されたベル製ヘルメット、アルパインスターが手がけたフルレーシングセット(レーススーツ、グローブ、シューズ)、そしてGTA/GTAmを保護するための、パーソナライズされた良質ウール製車両カバーなどから成る「パーソナライズド・エクスペリエンス・パッケージキット」が手に入る。
ジュリアGTAは、1965年に発売された初代と同様に、アルファロメオ・ブランドを象徴する存在であることは言うまでもない。パフォーマンスはもちろん、マニア垂涎のコレクターアイテムとして多くの人を魅了するのは必至と言える。