自動車販売台数世界第4位の自動車大国
人口は14億人弱で中国に続いて世界第2位のインド。自動車販売ではアメリカ、中国、そして日本に続いて世界第4位。誰もがイメージする食べ物はカレーにタンドリーチキンで、象徴的な風景はガンジス川。そんなインドには、いったいどんなクルマが走っているのだろうか?
驚くことに、インドでもっとも多く見かけるクルマはスズキ車である。しかも現地に出かけてみると、その頻度は想像を超えていた。首都であるデリーにおいては、見かけるクルマのほとんどがスズキ車といっても過言ではないほどだ。
それもそのはず、インドの乗用車市場におけるスズキのシェアは約5割。インドは、世界のどこよりもスズキ車の比率が高い場所なのである。
なかでも多く見かけるのは「ワゴンR」。といっても軽自動車よりもひとまわり大きな、いわゆる「ワゴンRワイド」なのがポイント。ハーテクトプラットフォームを採用した最新モデルはまだ街中で見かけることは少なく、旧タイプがほとんどだ。
次いで多いのが、スズキながら日本では見慣れない4ドアセダン。「スイフト」のセダンバージョンで「DZIRE(ディザイア)」という名前。こちらも驚くほどたくさん走っていて、タクシーとして乗る機会も多い。
ところでこれらのクルマのメーカーは正式には「スズキ」ではなく、「マルチスズキ」。日本のスズキとインドの国営企業との合弁会社だ。このマルチスズキの2018年度(2018年4月~翌年3月)の販売台数は1729万826台で、インドの乗用車市場におけるシェアはなんと51.2%!
さらに、マルチスズキの上級モデルであり3列シートMPVの「エルティガ」も多く見かける。しかし、実のところインドでは「ワゴンR」や「スイフト」「エルティガ」は移動手段としては“上級”である。
なぜなら、街中には気軽な移動手段として「オートリキシャ」と呼ばれる3輪の乗り物が幅を利かせているからだ。市街地に行くとその台数は驚くほど多い。
さらには、「リキシャ」と呼ばれる、“自転車を組み合わせた人力車”のような乗り物も健在。これは「オートリキシャ」同様にタクシーのように、自家用車ではなくお客の移動サービスとして使われるもので、リキシャの語源は日本の「人力車」にあるようだ。
インドを走るクルマを観察していていえるのは、インドはコンパクトカーが多いということ。大きな乗用車は高速道路では見かけるものの、市街地ではその比率がグッと低くなる。また、SUVはまだまだ少数派であり、これから伸びることは間違いないだろう。