特殊な形状のナットで盗難を予防
アルミホイールの盗難に対してクルマのオーナーができる自衛策のひとつがロックナットを使用すること。このロックナットとは通常のソケットレンチや十字レンチでは回せない形状になっているホイールナットのことで、取り外すには専用のキーアダプターが必要になるというものだ。
さまざまなタイプが販売されている
ロックナットには多くの種類が発売されていて、価格帯も広い。価格の幅とはすなわち「防御力の違い」と見ていいので、より確実にガードしたい場合は高価なものを選ぶのが正解だ。参考までにハイエンドのもので人気銘柄を書いておくと、アメリカ製のマックガードや協栄産業のリガードが揚げられる。
一般的なロックナットはナット部分が特殊なカタチなので通常のソケットレンチやクロスレンチでは回せない。安価なロックナットの防衛性が低いというのは、キーアダプターが同一(もしくは種類が少ない)だったりするからだ。
また、キーアダプターがなくても特殊なソケットレンチやプライヤー系の工具で回せたりすることもあるので、ナット形状を変えただけのロックナットはほどほどの防犯効果であるとも言える。とはいえ通常のホイールナットより回しにくいので装着の意味はある。
防犯高価の高いロックナットとは?
では、防御力が高いロックナットはどんなものかというと、ナット表面には工具が掛かるような凹凸がなく、キーアダプターがはまる内溝が切ってあるタイプだ。このレベルのナットはキーアダプターの種類も多いので複数の製品を購入しても同一のキーアダプターが手に入ることはほぼない。その点でも防犯効果は高いと言えるものだ。
内溝タイプのロックナットはアフターパーツのほかに各自動車メーカーが純正アクセサリーとして販売しているので、その点からも内溝タイプのロックナットのは信頼性が高いものと言えるだろう。
なお、一部の輸入車では純正ラグボルトにロックボルトが使用されているが、整備性の都合でキーアダプターの種類は市販品より限られているとのことなので、より高い防犯性を求める人や、通常のラグナットしか使われていないクルマでは内溝タイプのロック機構が付いたラグナットを使用したい。
より万全に対策するためには?
とはいえ内溝ナットも万全ではない。そこで登場したのがロックナットの頭部の構造を2重にしたもの。このタイプはキーアダプターがないと外側のカラーが空転する構造なのでカラーを工具で掴んで回してもナットは一切回らない。この2重構造ナットは現状で最も防犯効果が高いタイプと言える。
サーキット仕様車などではワイドトレッドスペーサーの有無やホイールの履き替えに対応するため、ロングハブボルトに換えているクルマもある。その際はボルトの突き出しがホイールごとに変わるため、貫通ナットが使われる例が多い。もちろん、貫通ナットにもロックナットがある。サーキットユースの軽量ホイールは盗難率も高いので、貫通ナットを使っている人はぜひロックナットをあわせてほしい。
さて、ロックナットはホイールの盗難予防に効果があるものだが、キーアダプターがないとホイールを外せないと言うことなので、出先でパンクした場合などに備えてキーアダプターを車載しておくのは大事。
脱着に必要なアダプターの管理も大事
とはいえ積みっぱなしでは車上荒らしに遭った際にキーアダプターを盗られる可能性もある。グローブボックスやコンソールなどわかりやすいところに保管するのではなく、見つけにくいところに隠すなどの工夫は必須だ。ふだん使うカバンなどに入れて乗るたびに持ち込むというのも多いにありだ。最近はスマートキーのクルマが増えているので、キーと一緒にポーチにアダプターを入れておくといいだろう。
メーカーによってはキーアダプターにシリアル番号を設けていて、もしキーアダプターを紛失した際の再発行ができる体制を整えている。ただし、サービスを利用するにはユーザー登録を済ませているのが前提なので、製品を購入した際は必ず登録しておくこと。そして発行されたシリアル番号は、画像やテキストファイルなどに納めて、必要になったときにすぐ調べられるようスマートフォンやPCなどに控えておくべきだ。
なお、ユーザー登録をしていなくて、なおかつシリアル番号もわからないという場合もメーカーに問い合わせるとキーアダプターの再発行は可能でもある。当然のことながら、手続きに手間が掛かるし、アダプタが届くまで数週間くらいの時間が掛かるという。
キーアダプターがないと通常の整備や修理のときに困るだけでなく、パンクなどの急を要するタイヤ交換に対応できない。中古車を購入して、ロックナットが付いているのにキーアダプターが手元にないというときは、早めに再発行手続きを行っておきたい。