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インドの交通事情にカルチャーショック! 「煽り運転」は日常茶飯事な現地レポート

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TEXT: 工藤貴宏  PHOTO: 工藤貴広

クラクションは鳴らしてナンボ

 インドの道路で感じたのはまず、異様に近い車間距離だ。前後も左右も、とにかくインドのドライバーはクルマ同士の間隔を開けない。時には高速道路でもビタッと距離と詰め、前走車をあおるかのようにピッタリと後ろに付け、3車線の道を有効に使って5台の車が並び、「テールtoノーズ」「サイドbyサイド」の熱いデッドヒートが見られる。

 彼らの車幅間隔はかなりの水準だと感心するが、よくみると車体にダメージを負っているクルマが多いので単なる勘違いかもしれない。

 周囲との距離は短く、はたから見ればバトルをしているようにしかみえない(実際にはそんなことはない)のだが、逆にゆったりしているのが車線変更。ウインカーを3秒点滅させてスッと隣車線に移るのではなく、ジワリジワリと隣に寄せながら進路を変更し、気が付けば車線変更しているという感覚だ。そもそも、車線を守っていないケースも多いのだが……。 また、のんびりと言えば加速。現地ではエンジン回転を抑えた早め早めのシフトアップが常識で、加速もとにかくゆっくり(MTが主流)。どうやら燃費をよくする運転と信じて疑わないようだ。聞けば、AT車は「シフトアップが遅い」と言われてしまうのだという。

 ところで昨今、中国をはじめとするアジア地域では、クラクションを使う頻度が少なくなっている気がする(フランスは相変わらずよく鳴らすが)。しかしインドは違う。「クラクションは鳴らしてナンボ」という気がするのだ。

 しかし、その使い方を見ると周囲を威嚇する目的ではなさそう。自車の位置を音で周囲に伝えているようである。言い換えれば、周囲にしっかり注意を払っていないドライバーも多いということなのかもしれない。

 インドの道路環境は日本人から考えると不思議なことが多い。そもそも、あんな車間距離では「あおり運転」としてすぐに白い目で見られてしまうだろう。

 しかしながらインドの人々の様子を見ていると、それが当然なので周囲のクルマに全く腹を立てている様子はない。それが日常であり、郷に入れば郷に従え。道路上の道徳は万国共通ではなく、国によって異なるのだ。インドの道路の真ん中で、短い車間距離にドキドキしながらそんなことを思った。 そういえば、インドの道には牛が闊歩しているのか?

 日本人としてはとても興味深いことだが、道路の中央をゆっくり歩いているシーンには出会えなかった。とはいえ、道端には頻繁に見かける。世界第2位の人口圏を誇る大都会、デリーの街でもあちこちの道端に「野良牛」がいるのだから衝撃的である。

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