アドベンチャーラリーファンに向けた一台
パリ-ダカール・ラリー(パリダカ)の難所であった「テネレ砂漠」に由来を持つ”テネレ”の名を冠した本格オフロード向け仕様が登場したのは、1983年のXT600がその始まり。第1回および第2回パリダカで総合優勝を果たしたXT500にルーツを持つマシンだ。
その後も、ヤマハはXT600Zテネレ(1988年)、XTZ750スーパーテネレ(1989年)、XT1200Zスーパーテネレ(2010年)など、輸出仕様をたびたび登場させたが、ついに待望となる国内向けとして『テネレ700 ABS』が6月5日に発売となる。
“Top of Adventure Ténéré”をコンセプトとし、軽量化にこだわり開発。DOHC直列2気筒/270度クランク688cm3エンジン(最高出力53kW/最大トルク67N・m)を搭載。このエンジンは「クロスプレーン・コンセプト(慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想)」 に基づいて開発されたもの。
エンジン特性に合わせて2次減速比を最適化。低中速の豊かなトルクと、高回転の伸びやかさが特徴で、本格的なオフロードライディングと日常的な市街地走行での扱いやすさを両立しているという。
また、後輪からの砂埃等の吸い込みを抑制すべく、エアクリーナーボックス(吸気)の向きを進行方向とし、十分な吸気容量を確保するなどさまざまなコンディションで高い走破性を発揮。軽量で強靭なボディは、高張力鋼管を採用したダブルクレードルと、アルミ製のリアアームを採用した。
さらに43mm径インナーチューブを持つ倒立式フロントサスペンションは自然な操舵感を実現。リアにはリンク式モノクロスサスペンションを採用し、一般路から砂漠地帯のような過酷なオフロードコースまで幅広く対応する走行性を実現した。前後ブレーキはウェーブディスクに、軽量・コンパクトなブレンボ製キャリパー。オン・オフ切替え可能なABSを搭載している。
そして、シート高875mmのフラットシートとスリムなタンク(16L)によって乗車姿勢自由度の高いライディングが可能。そのポジションに重要な3点(フート・ヒップ・ハンドル)の位置関係を最適化させるなど、疲労感を大幅に軽減させている。
価格は126万5000円(税込み)。ボディカラーは、マットダークグレーメタリック6、ブルーイッシュホワイトパール、マットブラック2の3色を用意。2020年6月5日より、ヤマハのYSPおよびアドバンスディーラーのみで発売する。