「純正アクセサリー」は見逃せないキーワード
軽自動車をベースにしたキャンピングカー「軽キャンパー」が、仕事をリタイヤしたシニア層に人気だ。自由気ままに、どこへでも気軽に出掛けられるサイズ、フットワークの軽さ、そして軽自動車とは思えない室内空間の広さが決め手である。が、本格的な軽キャンパーまでは必要ないが、軽自動車の中でキャンプなどに適したクルマを探している人は多いと思う。
そこでまず思いつくのが、スズキの「エブリィワゴン」やダイハツの「アトレーワゴン」といった、セミキャブオーバータイプの大空間を持つ軽ワゴン。軽キャンパーのベース車として使われることも多く、本来、働くクルマであり、天井が高く、フラットなフロアを持つラゲッジスペースなど、キャンプ用品の積み込みや、車中泊にもうってつけだ。
室内空間は、後席格納時で、エブリイワゴンの場合、最大奥行1850mm、幅1280mm、天井高1060mm。アトレーワゴンも同1840mm、1220mm、1110mmと、大人が真っすぐ横になれるうえ、室内空間をリビングルーム化するのに十分なスペースが確保されている。ルーフラックなどを取り付けて空間を有効利用すれば、アウトドア、車中泊で使う身の回りの小物の置き場にも困らないはずだ。
そして、純正アクセサリーにアウトドア、車中泊にぴったりのアイテムを揃えるクルマを選ぶこともポイント。エブリイワゴンを例に挙げると、2段ベッドセット、ベッドクッション、プライバシーカーテン、カータープ、バックドアを開けた時の虫の侵入を防ぐバックドアカーテンなど、カタログを見ているだけでワクワクでき、アウトドアに思いを馳せられるアイテムが勢ぞろいしている。
実は、軽自動車のアウトドア、車中泊対応能力は「アクセサリーカタログを見れば分かる」というぐらい、アクセサリーの用意の有無が決め手となるのだ。言い方を変えれば、アウトドア、車中泊対応のアイテムがないクルマは不向きと言えるかもしれない。
また、働くクルマが基本のホンダ「N-VAN」に関しては、スタイリッシュな”+STYLE”グレードがあり、ハイルーフのFUN、ロールーフのCOOLが選択可。こちらも、アウトドアや車中泊対応の純正アクセサリーが豊富に揃う。もっと乗用車的な軽自動車がいいというならばダイハツの「ウェイク」も候補のひとつだ。 こちらは乗用タイプなので、アトレーワゴンのように、後席を格納するだけで大人がまっすぐ横になれるスペースがあるわけではないが、前席まで使った変幻自在のミラクルパッケージによって車中泊も可能となるスペースが出現する。 しかも、ラゲッジ床下には大容量90Lものアンダートランクを装備。ラゲッジが汚れに強い素材で覆われているのはもちろん、グレードによっては防水フロア仕様もあるから、汚れを気にせず使い倒せるわけだ。
もちろん純正アクセサリーも不足なし。下段を物入れとして使えるふらっとキット、前席からラゲッジまでのスペースに敷けるジョイントクッション、カーテン、プライバシーシェードなどが揃っている。自転車用のサイクルホルダー、釣り竿用のロッドホルダーまであるのは、さすがである。 とはいえ、上記の軽自動車たちのエクステリアデザインに関しては、アウトドアなテイストは皆無に等しい。もっと、見た目も含めてオススメの1台と言えば、SUVテイストある内外装を纏ったスズキ「スペーシアギヤ」がある。
後席格納時の拡大ラゲッジスペースは奥行1350mm、幅850mm、天井高1100mmほどで、大人がゆったりと横になることはできないが、前席までフラット化すればOK。純正アクセサリーとしては、そこに敷き詰められるリラックスクッション、プライバシーシェード、カーテン&タープキットなどがあるので、普段使いからアウトドアまで、オールマイティな1台と言えるだろう。
ただし、SUVテイストを発散していても、最低地上高は標準のスペーシアと変わらないから、悪路に強いわけではない。 そこで、普段使いに最高で、なおかつアウトドア、そして悪路や雪道にもめっぽう強い1台を最後に紹介したい。スズキの「ハスラー」だ。そもそも初代ハスラーは、雪国のユーザーの要望に応えてデビューに至ったというだけあり、高い4WD性能、悪路&雪道走破性能の持ち主。 新型となってデザイン、装備、走行性能、快適性(乗り心地とシートのかけ心地の良さはトップクラス)、先進安全運転支援機能を飛躍的に向上させているのは周知のとおりだが、じつは前席まで使ったフラットモードにすると、ベッド長2040mmが確保されるのだ。 多少の凸凹はあるのだが、純正アクセサリーとして、それを解決する2枚一組のリラックスクッションも用意。さらにカーテン&タープ、プライバシーシェードなど、アウトドア対応のアイテムも豊富に揃うので、ハスラーの魅力や楽しさを一段と広げてくれる。アウトドア、車中泊を楽しむために、悪路を延々と走る必要があるなら、新型ハスラーで決まりだろう。
ちなみに、ハスラーで山道などをガンガン走ると、運転席のサイドサポート性に不足を感じるかも知れないが(普通の走り方では問題なし)、それは上記の前後席~ラゲッジスペースのフラットモードを優先しているからだそう。新型ハスラーの、あまり知られていないトリビアでした。