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全国に広がる「自転車保険の義務化」 背景にある悲惨な現状と罰則について

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TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: Auto Messe Web編集部

4月1日より東京都も義務化へ

 任意加入の自動車保険に「自転車事故」も補償する特約が拡大している。背景には、全国の自治体で「自転車保険の義務付け」の動きが広がっているからだ。2015年10月に兵庫県で義務化されて以来、2018年4月には埼玉県や京都府で義務化。2020年3月現在、「仙台市」「神奈川県」「埼玉県」「静岡県」「長野県」「名古屋市」「金沢市」「滋賀県」「京都府」「大阪府」「兵庫県」「鹿児島県」で義務化されている。

 また、北海道、千葉県、東京都、群馬県、福岡県、熊本県など、加入を努力義務とする自治体も存在(2020年4月には東京都足立区が義務化予定)。国が後押しする動きの背景には自転車の重大事故により高額な賠償金を請求されるケースが多く、保険未加入では到底支払いできないような事案が確認されている。

 実際に兵庫県で起きた少年(加害者)と女性(被害者)による自転車事故では、少年の母親に約9500万円という高額賠償が命じられた。他にも数千万円規模の賠償は実際に起こっており、自転車事故で自己破産したケースも起こっているのだ。というものの、義務化とは言っても今のところ未加入による罰則はない(ただし、条例違反として自転車を使った通勤通学が認められないケースはある)。しかし、自転車事故で死亡したり後遺症が残る事態が起きているのも事実。それでも「自分の身内に限っては大丈夫」と思えるだろうか。

月々100円程度から加入できる

 では、自転車保険はどのようなものがあるのだろう。先述のように、自動車保険の特約として自転車事故をカバーできるタイプのほかに、専用の自転車保険も誕生している。例えば、損害保険ジャパン日本興亜は、通話アプリのLINE利用者向けに「LINEほけん」を展開(損害賠償責任1億円、月々100円)。楽天損害保険もスマホから加入できる、示談交渉などのサービスまで付帯した保険を用意している(月々135円〜)。

 他にも自転車販売店やコンビニの店頭端末などでも加入はできる。できるならば加害事故を起こした時に被害者に補償できる「個人賠償責任補償」が付いた保険がベスト。各自治体によっては条例で加入することを定めている場合もある。その際、最大の賠償補償額が1億円以上の補償があれば、さらに安心感が高まるのは言うまでもない。

 もちろん、自転車保険加入義務は未成年から高齢者までの老若男女が対象。ファミリー加入で全員補償できる保険を選べば、一人ずつ加入するよりも保険料がオトクになるケースもある。さらに、すでに加入している生命保険や、自動車保険の特約補償の内容を吟味してみるのもいいだろう。

 現在の住んでいるエリアが義務化されていなくても、自転車の保険の加入を考えてみてはいかがだろう。本来ならば努力義務ではなく、クルマの自賠責保険のように義務付けを必須とすべきと考える。きちんと制度を整備しないと不幸は繰り返されていくのだ。

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