平均すると2~3年だが使い方で変わることも
スターターモーターを回すだけでなくECUや燃料噴射、プラグへの点火、エアコン、ライト、カーナビ、ワイパーなどと、現代のクルマは電気で動いているようなものだ。それだけバッテリーの重要性が増しているといえるだろう。
しかし、バッテリーは消耗品。定期的な交換が欠かせないパーツのひとつだが、最新のバッテリーの寿命はどのぐらいなのだろうか? クルマの電子制御化が進むにつれ、バッテリーも従来よりだいぶ高性能になってきているはずだが、長寿化する方法はあるのだろうか。
「国産のバッテリーには2~3年の保証期間がついているため、その1.5倍ぐらいは大丈夫」という人もいる。だが、それは「正しい使い方」をした場合に“壊れない”というだけで、寿命を保証しているものではない。
平均寿命は今も昔もそれほど変わっていない
事実、バッテリーメーカー大手、パナソニックではバッテリーの寿命について「車両の使用状況や車種、バッテリーの種類によって大きく変わりますが、平均すると2~3年です。保証期間と寿命が必ずしも一致するとは限りません」と答えている。
日立やGSユアサや古川電池なども同様に平均寿命は2~3年と公表している。平均寿命は、今も昔もそれほど変わっていないというのが現状だ……。とはいえ、あくまで「平均寿命」というのがミソで、じつは技術的には大きな進歩も遂げている。
例えば充電制御車用のバッテリーは、通常バッテリーの1.2~1.7倍の長寿性能があり、アイドリングストップ車専用のバッテリーだと2.5~3倍の寿命。ハイブリッド車用の補機バッテリーも、2~3倍の寿命になっている。
ただし、どんなバッテリーも使用条件、使用環境で寿命は大きくされるので要注意。
・夜間走行やチョイ乗りが多い
・週末しかクルマを使わない
・バッテリーを上げたことがある
・寒冷地や酷暑地域に住んでいる
・渋滞にはまることが多い
といった条件に当てはまる人は、どうしてもバッテリーの寿命は短くなってしまうことを覚えておこう。具体的にバッテリーの寿命が近づいてくると
・スターターの元気がなくなり、エンジンがかかりにくくなる
・アイドリング時にライトが暗くなり、アクセルを踏んだ時にライトが明るくなる
・パワーウインドの開閉スピードが遅くなった
・アイドリングストップの頻度が減った
・バッテリーが上がりやすい
といった症状が出る一方で、高性能な長寿命型バッテリーほど突然死する傾向がある。やはり購入から3年以上経過したバッテリーは、点検が必要だ。バッテリーが弱りやすい冬前か夏前にディーラーやカー用品店に行って、専用のテスターでバッテリーのコンディションを点検してもらうのがいいだろう。
バッテリーが正常でも「要注意」「要交換」と診断されることもある
ただし、充電制御車やアイドリングストップ車は一般車よりもバッテリーが満充電になることが少なく、普段から放電気味になっていることが多いため、バッテリーが正常でも「要注意」「要交換」と診断されることがある。
できれば、充電制御・アイドリングストップ車用の測定モードのある、最新式のバッテリーチェッカーで点検してもらうか、満充電にしてから測定してもらうようにしよう。なお、満充電にもかかわらずテスターで「要交換」という診断結果が出た場合、保証期間内であれば無償で新品バッテリーに交換してもらえる。(要注意は保証対象外)
また、保証期間内にバッテリーを交換してもらった場合、残りの保証期間は、最初に取り付けたバッテリーの保証期限が切れるまでとなる。つまり36ヶ月保証のバッテリーを30ヶ月で交換した場合は、残り6ヶ月が保証期間となる。