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【廃車になったクルマはどうなる?】意外と知られていない「リサイクル券」とスクラップ後の行末

投稿日:

TEXT: 山本晋也  PHOTO: Auto Messe Web編集部、AC

可能な限りのリサイクルが行なわれている

「古いクルマを大事にしよう、それこそが本当のエコだ」という主張を聞くことがあります。生産時や廃棄時の環境負荷を考えれば、古いものを大事に使うのは有効といえるでしょう。ところで日本では、クルマはどのくらいの期間使われているのでしょうか。

 一般財団法人「自動車検査登録情報協会」の資料によると2018年度末の数字では、乗用車(登録車)の平均が8.65年。5ナンバー車は9.12年、3ナンバー車は8.16年となっています。つまり、平均的には10年たたずして廃車になるか、海外に輸出されているという状況。廃車=スクラップですが、そこでは可能な限りのリサイクルが行なわれているのです。

 

リサイクル券は3つの処理に使われる

 では、自動車のリサイクルは、どのように行なわれているのでしょう。クルマを売買する際に「自動車リサイクル券」については別途支出が必要。「いったい、これはなんだろう?」と思ったことがあるかもしれません。逆にいえば自動車の売買経験がないとリサイクルが進んでいることを知らない人が多いでしょう。

 公益財団法人「自動車リサイクル促進センター」のアンケート調査(2019年6月)によると、2005年から施行されている自動車リサイクル制度について「まったく知らない」と回答した人は26%も存在。一方、「どんな仕組みか概要を知っている」という人は22%と、大半の人は自動車のリサイクル制度という名前は知っていても、それが何のために、何を目的としたものなのかは知らないのが実情です。 具体的には、リサイクル券がカバーしているのは3つの項目。自動車を解体・破砕した後に残るゴミ(シュレッダーダスト)、エアバッグ類のリサイクル、カーエアコンに使われるフロン類を破壊することです。これらの処理に必要な費用が「リサイクル券を入手した際にユーザーが支払った料金」から賄われているのです。 それ以外の部分はどうしているのかといえば、大半がリサイクルされています。つまり、リサイクルがビジネスとして成立しているわけで、灯火類や外板パネルなどは取り外して中古部品として流通しているし、エンジンも使えるならば中古品として活用されています。

 

車重の約9割が再利用されている

 また、ボディを構成する金属は適切に処理されて”地金”として再利用。バンパーなどの樹脂パーツもこまかく砕いたのちに、再び樹脂パーツとして再生されたり、燃料として利用されることがあります。結果的に、重量ベースでいうと日本で廃車したクルマは90%程度が再利用されているという計算になります。 生産コストと同時にリサイクルにもコストはかかっているので、「9割もリサイクルをしているのだから廃車しても無駄は一切ない」というわけにはいきませんが、廃車=ゴミというイメージは違う気がします。携帯電話などに含まれるレアメタルを回収・利用するシステムを指して「都市鉱山」といった呼び方をしますが、自動車も同様。廃車にされたクルマはある意味で資源といえますし、その利用率を高めるのが自動車リサイクル制度なのです。

 なお、自動車のリサイクル券自体は車両にひも付けされているもの。国内での取引では車両売買時にリサイクル券相当額を渡すことで、新しいオーナーが受領することになっています。ちなみに海外に輸出する際には申請期間(2年間)内に所定の手続きを行なうことで、リサイクル料金は戻る仕組み。基本的には業者が行なうフェイズでの話なので、一般ユーザーは知らなくてもいいことですのであしからず。

【詳しくはこちら】

平均車齢について:
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

リサイクルのアンケート調査:
https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2019/08/survey_2018.pdf

自動車リサイクル制度について:
http://www.jars.gr.jp/gus/exju0010.html#section02

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