条件さえクリアしていれば問題なし
老朽化した固定式オービスの撤去が進む一方で、全国各地で「移動式オービス」が増えている。これまでのオービスは高速道路や幹線道路に主に設置されていたが、移動式オービスは生活道路や通学路の事故発生抑止対策の一環で導入されていて、いつどこで取り締まりが行われているかわからない。
移動式オービスでの取り締まりは「予告標識を設置せずに取り締まりを実施する」と公言している県警(愛知県警など)も存在する。オービスは違反車両のナンバーと運転者の容貌を撮影するシステムなので、違反者(容疑者)であっても、警察が無断で撮影するのはプライバシー権(肖像権)の侵害となる可能性がある。
これについては、以前から様々な意見があり、過去の最高裁の判決では
・リアルタイムで犯罪が行われている場合
・緊急に証拠保全をする必要性がある場合
・方法が合理的である場合
以上、3つの条件をクリアしていれば、本人の同意がなくても、警察官による容貌の撮影が許容されるとなっている。オービスの撮影がこの条件を満たしているかどうかはグレーゾーン。しかも判例であって法律ではない。
法令でオービスの「予告看板」が必要かどうかを定めた一文は見当たらないので、設置するかどうかは、各都道府県警や警察署の判断に任されているようだ。とはいえプライバシー権(肖像権)の侵害だとして、ドライバーと警察が争い、裁判で争われるケースが過去にあったのも事実。それだけに固定式オービスに関しては、その手前に“看板”を出しているのが一般的だ。
それに対し移動オービスの場合は無人撮影ではなく、警察官が立ち会っていることが多く、警察官の現認という扱いに考えている節がある。なおかつ取り締まり情報を都道府県警のホームページやツイッターなどで周知しているので「予告看板の設置は不要」というのが警察サイドの言い分のようだ。