従業員にもEVを推奨して環境負荷を低減する
神奈川県逗子市小坪にあるリビエラ逗子マリーナに「MALIBU HOTEL(マリブホテル)」、そして「MALIBU FARM(マリブファーム)」というレストランが3月26日(木)にグランドオープンする。注目すべきは、電気自動車(EV)の充電施設をもつホテルは増えているが、マリブホテルは日本で初めてV2H(Vehicle to building)というEVに蓄えた電気を施設内の電力として給電できるシステムを採用したことだ。
都心から約1時間 古都鎌倉からもほど近い位置にある「リビエラ逗子マリーナ」は、1971年に誕生した敷地面積16.3万平方mのヨットハーバー。映画やドラマのロケ地として使用されたり、かつてはユーミンのライブが行われたりしたことで有名なスポットだ。レストランやバンケット、マンション(9棟1200室)、チャペル、テニスコートといった施設を有していたが、残念ながらこれまで宿泊施設は無かった。しかし、今回マリブホテルが完成したことで、滞在型マリーナリゾートへと進化することとなる。
マリブホテルは、客室数11室というスモールラグジュアリーホテル。スイートルームスタイルの全室が50㎡以上。最近はインスタ映えポイントとして若者が撮影に訪れているパームツリー並木だが、その並木越しに、江ノ島や富士山がその全室から望むことが可能だ。
今回注目するのは、このマリブホテルが、災害時に電気自動車(EV)からホテルの照明やコンセントに電力が供給できる「V2B(Vehicle to building)」のシステムを導入した日本初のホテルということだ。
「V2B」だけでなく「ワークプレイスチャージング(事業所に設置した充電器で勤務中に従業員のEVの充電をすること)」にも活用し、CO2排出削減の意識向上、そしてエコロジーと防災にも配慮するという。
駐車場に6kWの中速タイプの充電器を3基、フォーアールエナジー社の12kWh容量の蓄電池を用意。さらにホテルの屋上には太陽光パネルを設置している。
これらをパワーコンディショニングシステムによって、充電器に接続したEVの充電の調整を行う「ワークプレイスチャージング」、ホテル全体の使用電力が過剰になって来た際に電力会社からの系統電力にプラスしてEVからの電力で補う「ピークカット」の管理を自動で行っていくこととなる。また、非常時の待機場所として使用するホテルのロビーおよび一部のコンセントへの「BCP(事業継続計画)対策の電源供給」を行うことができるという。
EVを積極的に活用するエコロジーと防災にも配慮したホテルを目指すとしており、福利厚生のひとつとして従業員へのEV車購入時の補助金制度も社内で設けており、運営会社であるリビエラリゾートはSDGs(持続可能な開発目標)を今後より一層推進していくという。
また、2014年にマリブピアに開業し、現在アメリカに6拠点、そしてメキシコでも展開する「フレッシュ、オーガニック、ローカル」がコンセプトとする人気のレストラン「マリブファーム」が日本初上陸。マリブホテルに隣接するこのレストランでは、本国アメリカ現地のレシピで人気のメニューはもちろん、地元鎌倉の新鮮野菜や相模湾の魚介類を使用した日本限定メニューも用意されるという。