高齢化社会の日本でブーム到来はあるか
ボディサイズは小さくとも機能や内外装を上質にした「小さな高級車」、輸入車ではイギリスのバンデンプラプリンセスやベンツ190などの成功例もある。しかし日本車では、そういった目的として市場投入されたモデルはあるものの、成功例は浮かばない。
しかし、クルマ文化で努力を積み上げ成功してきたニッポン。小さな高級車こそ、高級技術と歴史があればこそ生み出せるものではないのだろうか。小さな高級車造りに対する挑戦があったことを忘れてはならない、というわけで少し振り返ってみたい。
日産・ローレルスピリット
日産の「ローレルスピリット」は、かつてあったディーラーの日産モーター店で販売されたサニーの兄弟車だ。日産モーター店では、トヨタのマークII三兄弟のライバルだったローレルが販売されていたこともあり、弟分であるローレルスピリットは車名の通り、ローレルを踏襲したクラス以上の内外装を持っていた。
が、逆に言えばそれだけだったことも事実。存在感が薄く、結果的に失敗に終わった。
ホンダ・コンチェルト
ホンダの「コンチェルト」は4代目シビックをベースにした小型セダン。当時、ホンダと業務提携を結んでいた英国ローバー社との共同開発により誕生したモデルである。 コンチェルトはまさにイギリスの老舗ローバーの信頼性が発揮されたとも言える。英国車を彷彿とさせるウッドやレザーを使ったインテリアは、こちらもクラスを超えた高級イメージだった。 また、ベースのシビックから高められた全高も、当時のホンダ車としては長いストロークを持つサスペンションなどを採用。シビックとはずいぶん違ったクルマに仕上がっており、小さな高級車としての素質は十分備えていたといえる。 しかし、それまでのホンダ車のイメージにはそぐわない、地味と捉えられてしまったことが原因だったのか、販売が振るわなかったのも事実だ。