犬種によって合わせることも大切
愛犬家、犬の飼い主にとって、クルマはなくてはならない移動手段。なにしろ、犬は基本的に公共交通機関に乗車できない。できたとしても、かなり気を使う乗車になるはず。ゆえに、ドライブ旅行はもちろん、動物病院の行き帰りにも、クルマは不可欠だ。
わが家は、大型犬のラブラドールレトリーバーと小型犬のジャックラッセルと暮らし、自身はドックライフプロデューサーとしても活動。自動車用純正ドッグアクセサリーのプロデュースを行ない、毎月のようにさまざまなところに愛犬同伴で出掛けていることもあって、犬仲間から「犬を乗せるにはどんなクルマがいいか」という質問をよく受ける。
犬を乗せるにはどんなクルマがいいか?
答えはケースバイケース。愛犬が小型犬なにか、中型犬なのか、大型犬なのか、多頭飼いなのに始まり、犬の年齢や住んでいる地域が雪国か否か、家族構成……によっても答えは異なってくる。そして、意外と思うかもしれないが、軽自動車でも車種によっては、わが家のような大型犬と小型犬の2頭飼いでも、後席や後席を格納して拡大したラゲッジスペースに、快適に乗せることも可能なのである。
ワンコが乗り降りしやすいクルマとは
まずは「乗降性」。犬をワゴンのラゲッジスペースに乗せているシーンがクルマのカタログやCMに登場するけれど、愛犬は基本的に後席に乗せるべきだと思っている。何故なら、乗り心地(座り心地)に優れ、前席の飼い主とのアイコンタクトが容易で、体調不良などを早期に発見しやすく、また、夏場はエアコンの風が届きやすい。熱中症対策として、暑がりの犬もより快適にドライブを楽しめるからだ。
Mクラスボックス型ミニバンが乗せやすい
多くのミニバンなら、シートに直接飛び乗るのではなく、一度、フロアに乗ってから、シートにジャンプする……というアクセスが可能。で、ミニバンの中でもフロアが低く、犬が乗り降りしやすいモデルとなると、スライドドア部分のフロア地上高が低めでワンステップフロアの「ステップワゴン」「セレナ」「ヴォクシー&ノア」あたりになる(フロア地上高390mm前後)。
2列目席に2名乗車させる際はキャプテンシートのまま使い(犬は3列目席に乗車)、犬を乗せる際はベンチシート化するというアレンジが可能なため。で、ミニバンに愛犬を乗車させるときに便利な機能が備わっているクルマと言えば「ステップワゴン」だ。
コンパクトミニバンではシエンタがオススメ
同様に理由で、コンパクトミニバンながら、トヨタの「シエンタ」が優れている。スライドドア部分のフロア地上高は330mmと低く、2列目席はベンチタイプのシートを採用。ちなみにホンダのコンパクトミニバン「フリード」のスライドドア部分のフロア地上高は390mmだが、大型犬ならまったく問題ない高さといえるだろう。
ワゴン派にオススメなモデルは?
どうしてもミニバンには抵抗がある。わが家はワゴン派というなら、愛犬のためのワゴン選びのポイントは、乗車口となるラゲッジフロアの低さと、開口部に段差がないことが挙げられる。国産ワゴンは今では少数派だが、ラゲッジフロアの低さと使い勝手の良さで光るホンダの「シャトル」を推したい。
ちなみに、ほかの国産ワゴンのラゲッジ開口部地上高はカローラツーリングが610mm、マツダ6ワゴン(アテンザワゴン)が630mmだ。参考までに。
軽自動車で犬を乗せやすいのは
軽自動車でも「N BOX」や「タント」「スペーシア」「ルークス」といったスーパーハイト系であれば、スライドドアから低いフロアに乗せることは容易だし、後席の空間も広々。スライドドアのサイドウインドウにロールサンシェードが備わる車種であれば、室内温度の上昇抑制とともに、犬が嫌がる外からの干渉も防げてバッチリである。
シニア犬にぴったりなのは
わが家のラブラドールレトリーバーは今年15歳。ジャックラッセルも8歳になるのだが、軽自動車の中でシニア犬向けとして注目しているのが、ホンダ「N BOX」のカタログモデルにある”スロープ仕様”。愛犬が歩きにくくなり、カートを利用するようになっても、これならカートに乗せたまま、乗車させられるのだ。
結論としては、愛犬に合った、乗せやすさ、乗車時の快適度、そして空調、飼い主とのアイコンタクトのしやすさから、乗り心地の良さや車内の静かさ(犬は聴覚に優れているゆえ)などに重点を置いて、飼い主と愛犬に最適な1台を選ぶといいだろう。