超「角」フォルムの超無骨だった
もはやブームというよりもすっかり市民権を得た感のあるクロスオーバーSUV。乗用車的な乗り味とSUV的な走破性の高さや安全性の高さを感じさせるデザインの融合は、たしかに人気になるのも頷ける。
しかしそんなクロスオーバーSUVが登場する以前、SUV車が「クロカンRV車」と呼ばれた80年代~90年代にも一度ブームが到来していた。そのときは本格的なクロスカントリーSUVの高い走破性で、アウトドアレジャーに興じるユーザーに受けており、車種も現在のクロスオーバーSUVに比べて無骨なものが多かったのだ。
今回はそんな80~90年代に人気を集めたクロカンRV車を振り返ってみよう。
トヨタ ハイラックスサーフ
その名の通り、小型ピックアップトラックであるハイラックスの4WDモデルをベースに荷台部分にFRP製のシェルを乗せてワゴン風に仕立てたモデル。初代モデルは4ナンバーの商用モデルとしてスタートし、のちに乗用モデルが追加されている。
そして89年に登場した2代目は、より乗用車的な乗り味と利便性を手に入れ、ボディも別体式のFRPシェルからスチールの一体式へと変わり、4ドアモデルも追加。90年にはV6 3リッターエンジンも追加して一躍人気車種の仲間入りを果たした。現在その名前は失われてしまったが、兄弟車関係にあったランドクルーザープラドがその座を受け継いでいる。
日産 テラノ
ハイラックスサーフ同様、ピックアップトラックであるダットサントラックをベースに誕生したのがテラノだった。初代ハイラックスサーフに遅れること2年、1986年に登場した初代モデルだが、サーフとは異なり、当初から専用の一体式ボディをまとい、より乗用車的なルックスを持ち合わせていたことで、サーフを上回る人気を誇るモデルとなっていた。
特に北米の日産デザインインターナショナルが手掛けた2ドアのボディは、各部がフラッシュサーフェス化され、RVながら都会的な洗練されたデザインとなっていたのも人気の理由だった。デビュー翌年の87年には早くもV6 3リッターエンジンと当時のRV車としては珍しかった4速ATを設定し、クロカンRV車人気をけん引するモデルだったのだ。
いすゞ ビッグホーン
4WDのピックアップトラックをベースとしたRV車としては一番の古株となるビッグホーンは1981年に初代モデルが登場。当初はベース車の名前を取ってロデオ・ビッグホーンと呼ばれていた。初代からレカロシートやMOMOステアリングを装着したイルムシャーやオンロード性能を高めたbyロータスなど、意欲的なモデルを投入していたことでも知られる。
91年には2世代目へとフルモデルチェンジを果たし、93年のマイナーチェンジ時には本革シートを備えた高級仕様も用意されていた。また、ホンダへホライゾンとして(海外ではアキュラ SLX)、スバルにはそのままビッグホーンとしてOEM供給されており、いすゞが乗用車事業から完全撤退した2002年まで生産が続けられていた。
三菱 パジェロ
当時のクロカンRV車の頂点に君臨していたのが言わずと知れたパジェロであった。1982年に登場した初代モデルは、30年近くジープをライセンス生産していた経験から生まれたモデルで、83年には早々に乗用車登録モデルを追加。そしてパジェロの代名詞でもあったパリダカへの参戦もこの年からスタートしている。
88年にはV6 3リッターエンジンを追加し、オンロードでの乗り心地向上のため、乗用モデルのリアサスペンションをリーフリジットから3リンク/コイル式に改める改良を施していた。
そして91年には2代目へとフルモデルチェンジ。初代も圧倒的な人気を誇っていたパジェロだったが、2代目は動力性能はもちろん、居住性や使い勝手も大幅に向上し、当時人気だったカローラやマークIIなどを抑えて国内月間販売台数で1位に輝くほどの人気車種となったのであった。