いまのクルマにはない”じゃじゃ馬”を操る爽快感
近年はダイハツのトール系を中心に、コンパクトなボディながらも広大な車内スペースを持つ軽自動車やコンパクトカーが人気だ。しかし、レースにジムカーナにラリーにダートトライアルになど、それぞれの競技で勝つために設計され、狙いどおり各カテゴリーを席巻したモデルがある。そのなかで軽自動車とコンパクトカーにターゲットを絞り、モータースポーツの歴史に名を残すモデルを紹介していく。
日産・マーチR
まずは少し懐かし目のモデルから。大衆車にモンスター級のエンジンを積む先駆けといえるのが、初代マーチに設定された『R』というラリー専用車だ。全日本ラリーに照準を合わせて開発され、スーパーチャージャーとターボを組み合わせた、日本で初となるツインチャージャーを採用。ミッションも超クロスレシオで内装は簡素、タイヤ&ホイールは交換することを想定し、同じマーチの廉価グレードと共通のスチールホイールにした質実剛健なものだった。
ダイハツ・ストーリア
ラリーではダイハツの名車『ストーリアX4』も忘れちゃいけない。排気量1000cc以下のクラスに参戦すべく、ターボ係数をかけても1000ccを超えないよう、エンジンは軽自動車のJBをベースにストロークアップ。713ccという中途半端に思える排気量はそのためだった。
スズキ・アルトワークスR
受注生産で現存している台数が圧倒的に少なく、幻の存在と呼んでも過言じゃないのが3代目の『アルトワークスR』だ。通常のアルトワークスでも高い戦闘力を誇っているが、”R”はタービンやインタークーラーを大型化。エンジン内部もハイカムは鍛造ピストンを採用し、さらに機械式LSDや強化センターデフを組み、ミッションも当然の如くフルクロスギヤ化された。
トヨタ・GRヤリス
新車で買えるモデルとしては『GRヤリス』は外せない存在。知ってのとおりWRC(世界ラリー選手権)での勝利を至上命令とし、1600ccという排気量ながら272ps&37.7kgmという驚異的なパフォーマンスを誇る。
スズキ・KeiスポーツR
最後はナンバー付きレースの先駆けとなった、アルトワークスの後継ともいえる『KeiスポーツR』で締めたい。ちょっと腰高感があるKeiをベースとしているが、ワンメイクレースへの参加を前提に設計。防音用のアンダーコートやオーディオを取り外し、代わりにロールケージや前後にサーキット用の牽引フックを装備するなど、稀に見るスパルタンなもの。
*写真はKeiワークス
まさに、近年の自動車史に大きな影響を与えたモデルだろう。