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昭和の魔改造マシン「シルエットフォーミュラ」 日産ターボ3兄弟を取り巻く縁者とライバル車たち

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了,富士スピードウェイ,ニッサン,マツダ,Auto Messe Web編集部

インパルのシルビア・ターボもルックス進化

 81年3月に行われた富士GCシリーズ開幕戦「富士300kmスピードレース」のサポートイベントであるスーパーシルエット(SS)レースには、「シルビア」と「ガゼール」(ともにKS110系の兄弟車)のシルエットフォーミュラがレースデビュー。

 星野一義選手がドライブしたシルビアは、黄色い稲妻カラーですが、81年モデルと82年モデルは全くの別物。ムーンクラフト製のカウルを剥がしてみると、中からはベースモデルのモノコックが出てくるのです。

 競争力はなかなかのものでデビューレースの開幕戦では星野選手のシルビアが優勝し、第2戦では柳田春人選手がドライブしたガゼールが優勝。82年シーズンの星野選手のホシノインパルニチラ・シルビアは、現在まで続くホシノ・レーシングとカルソニック(現マレリ)の蜜月の始まり。翌年の83年にはベースモデルの進化に合わせて4代目となるS12系のアウターパネルに着せ替えてリフレッシュしたのです。

 

大本命のスカイライン・トミカ仕様

 そして“真打”とも言うべき3兄弟、スカイライン、シルビア、ブルーバードが82年に登場。中でも多くのファンの熱い視線を集めたのが、スカイラインをベースにした「トミカ・スカイラインターボ」だったのです。

 ノバ・エンジニアリングの森脇基恭氏が設計したシャシーにLZ20Bターボを搭載。ムーンクラフトの由良拓也氏がデザインしたボディカウルを纏う、という基本パッケージは共通していましたが、カウルワーク=ベースモデルとドライバーのキャラクターがレーシングカーのキャラクターになっていきました。

 デビュー当時に搭載したLZ20Bターボは、排気量1992㏄でフロントのストラット頭部がボンネット上に突出。エンジン排気量を2139ccに拡大した83年モデルではボンネットがフラットに成形され、グリルも3線タイプから“鉄仮面”へと変更されたのです。

 戦績についても84年までの3シーズンで19戦9勝と、5割に近い勝率。富士のデビュー戦となった82年8月の富士チャンピオンズレースでは長谷見昌弘選手も「最終コーナーを立ち上がってきた時にはスタンドのファンが一斉に立ち上がって大声援を送ってくれたのが運転していても分かった」ほどの人気ぶりだったのです。

 そして声援に応えるように予選3番手から見事な逆転優勝。記録にも記憶にも残る活躍ぶりを見せました。

ポテンシャルを秘めたマーチ・スーパーシルエット

 ターボ3兄弟がレースデビューした82年にもう1台、歳の離れた末弟が誕生しています。それがコンパクトカーのマーチ…初代のK10系をベースにしたマーチ・スーパーシルエットです。

 兄貴分の3兄弟が、パイプフレームにアウターパネルを被せているのとは違い、こちらはベースモデルにFRP製のエアロキットを組みつけたもの。ただしエンジンには“それなり”のチューニングが施されていて、直4OHCのE15型エンジンは、1487㏄の排気量はそのままに吸排気系に手を加え160馬力の最高出力を発生していました。

 ド迫力ボディでレースファンを虜にしたスーパーシルエットレース。火を吹きながら走る勇姿は、いまみてもカッコいいものですね。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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