4月からドイツから順次利用可能に
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が止まらない状況だが、ドイツに本拠を置くボッシュが6週間で開発した完全自動の迅速検査システム(以下は本システム)は、検体採取からわずか2時間半以内で原因ウイルス(SARS-CoV-2)の検出結果が判明するという。
新型コロナウイルス感染症は、世界中の医療制度と医療機関に大きな課題を突き付けている。ウイルスを迅速に診断する能力は、多くの国における爆発的拡大の抑制に役立つことが期待されている。
現状の検査システムでは通常、患者に検査結果が通知されるまでに1日から2日を要している。ところが、ボッシュが新たに開発した本システムは、臨床現場で直接実施できるため、検体の輸送も不要。しかも、検体採取からわずか2時間半以内で原因ウイルス(SARS-CoV-2)の検出結果が出るため、患者の特定と隔離が加速することは明らかで、流行拡大を食い止める効果も大いに期待できる。診療所や病院、その他の検査施設および保健所といった医療機関での迅速な診断に寄与するのは間違いない。
ちなみに本システムは、ボッシュの子会社のボッシュ・ヘルスケア・ソリューションズと、北アイルランドの医療技術企業であるRandox Laboratories Ltd.との協働の成果で誕生。数量は明らかではないが、すでに市場に提供できる状態とのことだ。
もう少し具体的な部分を説明すると、検体は患者の鼻または喉から綿棒を使って採取。続いて検査に必要なすべての試薬が収められているカートリッジを装置に挿入して分析を開始。完全自動のため、この分析中に医療スタッフは患者の治療などの別の業務に携わることができるという。
また装置は非常に使いやすい設計で、特別な訓練を受けていない医療スタッフでも操作OK。さらにこの分析装置は、 24時間のうちに最大10種類の呼吸器病原体検査を実施することもできる。すなわち100台の装置があれば、1日あたり最大1000回の検査を行なうことができるという次第だ。
さまざまな臨床試験の結果、本システムによる検査は95%以上の精度であることが確認され、世界保健機関(WHO)の品質基準も満たしているとのことだ。4月からまずはドイツで利用可能になり、その後は欧州各国やその他の地域にも提供される予定だ。
「私たちはボッシュの迅速検査システムがコロナウイルスの世界的流行の食い止めにできるだけ早く貢献することを望んでいます。この検査システムにより、 感染した患者の特定と隔離が加速するでしょう」と、 ロバート・ボッシュGmbHのフォルクマル・デナー取締役会会長はコメントしている。