平日の駐車場を利用するサラリーマンが増加
新型コロナウィルスの影響で緊急事態宣言が出され、自宅での仕事が推奨されてはいるが、すべての勤め人が実行できるわけでない。電車に乗ることに恐怖を覚えながら、仕方なく通勤している人も多いだろう。そんな状況下、時間貸しの駐車場で異変が起きている。さらに、万一事故が発生すると労災問題にも発展する可能性を秘めているのだ。
東京都の秋葉原にある某駐車場スタッフから聞いた興味深い話。平日の利用率が高まっているということだ。
「これまでは東京オリンピック2020の工事に携わる関係者の利用で、平日でもクルマ、バイクとも満車に近い状況が続いていました。しかし、今年になって建設がひと段落すると徐々に平常な状態になって、平日の利用率は低下。ところが、新型コロナウィルスの影響が大きくなって以来、再び平日の利用率が上がっています」というのだ。外出の自粛が推奨されているのになぜだろう。
「利用者を見ていると、それまでの作業着姿の工事関係者ではなく、スーツ姿の人が多い。おそらくサラリーマンですしょうね」と言うのだ。これは、密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、密集場所(多くの人が密集している)、密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)となる「3密空間」になりやすい電車通勤を嫌った人たちが、通勤の手段をクルマやバイクの利用に切り替えているということと容易に想像できる。
自宅から会社に近いところまで自家用車で移動。会社までを徒歩、もしくは短距離だけの電車利用とすることで感染リスクを下げているのだろう。
労災認定の対象は通常の通勤経路が基本
感染者が増えているニュースは連日報道されているだけに、今後、この手の通勤手段を検討する人が増えそうな感じもする。しかし、事前に確認して欲しいことがある。労災保険についてだ。
多くの会社では通勤も業務に含むので、通勤中の事故では労災保険のなかの「通勤災害」が適応されるはず。ただし、この仕組みにおいての”通勤”にはいくつかの定義がある。なかでも注目したいのが「合理的な経路と方法による自宅から会社までの移動」という部分だ。
基本的に通勤は、自宅からバスや電車などの公共機関を利用しての移動が基準。クルマの移動はそのルートから外れるし、利用する駐車場の場所によっては遠回りと判断されることもある。また、一般的に通勤定期を支給されていながら、クルマでの移動すること自体が問題になるかもしれない。
そのため、新型コロナウィルスの感染リスクを減らすためのクルマ通勤を実行する前に、会社へ相談しておくべきだろう。通勤中に事故に遇ってケガなどをしても労災扱いにならない可能性はおおいに考えられる。 また、クルマ通勤をした場合は、駐車料金も気になる。長時間の駐車なら最大料金(指定の利用時間まで一定料金)を設定している駐車場を選ぶのが一般的だろうが、都市部では最大料金の適応範囲が限定的なところが多い。
こういったことは駐車場の看板に記載されているのだが、出社時間が迫っているときなどは焦りから情報を見落とすこともあるし、そもそも選んでいる余裕がないこともあるので、クルマで通勤しようと思ったら事前に駐めたいエリアの駐車場情報も調べておきたい。
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