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「美しすぎる国産クーペ」 時代を経ても廃れないクルマの美学を振り返る

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了、マツダ

巨匠ジウジアーロがデザインした4座クーペ

【いすゞ117クーペ】

 日野自動車と同様に、現在では大型トラックなどの専業メーカーとなっている”いすゞ自動車”ですが、かつてはトヨタや日産とともに自動車メーカー御三家と呼ばれたほど、由緒あるメーカーでした。

 そんないすゞが生産していた乗用車で、シルエットが美しいクーペといえば1968年にデビューした2ドア4座の「117クーペ」でしょう。 その前年に登場した4ドアセダンのフローリアンが、デビュー前には117サルーンと呼ばれていたことからも分かるように、117クーペはフローリアンのクーペモデルという位置づけ。シャシーも共用となっています。

 エンジンは、いすゞとして初となるツインカムの1.6リッター直4を搭載。後には1.8リッターや2リッター仕様も登場し、また70年にはボッシュ製のDジェトロニックを使用した国内初の電子制御燃料噴射システムを搭載するなど、メカニカルな面でも多くのトピックがありました。 筆者にとってはクルマ好きの弟が若い頃に所有していて、今回紹介する中では最も身近にあった1台。明るいベージュの初期モデルはトヨタ博物館で撮影。ガンメタリックの中期モデルと、角形4灯にが最大の特徴となったマルーンの後期モデルは石川県小松市にある日本自動車博物館で撮影したもの。

 

RE+FFと新機軸を盛り込んだハードトップ

【マツダ・ルーチェ ロータリークーペ】

 世界で唯一、ロータリー・エンジン(RE)搭載モデルを量販したマツダですが、まだ前身の東洋工業だった1969年にリリースした美しいクーペモデル、それが「ルーチェ・ロータリークーペ」です。

 名前やデザインから当時のマツダのフラッグシップ、ルーチェのクーペモデルであることは容易に想像できますが、シャシーは全くの別物。ホイールベースも4ドアセダンに比べて80mmも長くなっています。

 言うまでもなくREを搭載した前輪駆動というパッケージも革新的。ちなみにセンターピラーを廃したハードトップとしてはコロナ(RT50系)に次いで国産では2番目でした。 搭載されたREは新開発の2ローター(13A型)。ボディ・デザインは、ベルトーネのチーフスタイリストだったジョルジェット・ジウジアーロが手掛けた4ドアセダンをベースに、マツダの車内でクーペへのコンバートが行なわれたようです。

 こちらも路上で遭遇する機会はなく、ショーや博物館で出逢ったのみ。ベージュの個体はマツダ・ミュージアムで、黒のレザートップ仕様はマツダ・クラシックカー博物館フライで撮影。テストコース脇でのカットは67年の東京モーターショーでの参考出展車両でマツダ広報提供。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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