21歳以上でMT免許取得から3年経過でOK
道路交通網が発達している日本では、とくにトラックを使った物流が盛んだ。ただ、最近は大型トラックを中心に人材が減ってきているという。しかし、前記したように日本の物流の中心はトラック輸送であり、一部で取り上げられた自動運転による隊列輸送は実現するかは不明。現実になったとしてもまだまだずっと先のことだ。
それだけに以前から言われていた「大型免許を持っていれば仕事を見つけやすい」という状況は変わっていない。そこで、今回は大型免許を取得する手順や取得後に乗ることのできる車種について紹介していこう。
まず大型免許があるとどんなクルマに乗れるかという点だが、「車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、乗車定員30名以上のいずれかを越えるトラック、バス」となる。つぎに免許の取得について。受験資格があるのは「年齢が21歳以上でMTが運転できる普通免許を持っており、免許取得から3年経過していること」となっており、規定内の視力、身体能力があることだ。
大型免許を取得するには2つの方法があり、ひとつは全国の運転免許試験場で受けるいわゆる「一発免許」。もうひとつは、公安委員会が指定する教習所で講習を受けながら免許取得する方法だが、現在は一発免許で取るのは相当困難となっているという。
それに運送会社側も自己流で取得した免許ではなく、正しい指導を受けて取った免許を重要視する傾向なので教習所での取得を推奨。そんなことからこれから大型免許を取るという場合は、教習所に通うことを基本に考えたほうがいいかもしれない。 なお、運転免許試験場では、最初場内での仮免許を取ったあと、場外に出ての試験になる。この際、運送会社に勤務していて練習用のトラックに指導員(上司など)と一緒に乗れる環境でない限り大型トラックに仮ナンバーを付けて一般道で練習することはできないだろう。
また、以前の試験では大型と言っても4トン車を使っていたので普通免許で2トン車に乗っていればある程度慣れることもできた。しかし、現在は10輪の大型車両を使用しているのでキチンと練習するのが望ましい。そんな面からもいまどきの大型免許取得では指定教習所にいくのが一般的なのである。
取得費用に補助金が出るケースも
指定教習所での大型免許取得にはかなりの費用が掛かる。地方で30万円くらい、都市部では50万円くらいの予算が必要だ。ただ、運送会社に務めていれば会社から免許取得の補助金が出ることもあるが、免許を取ってすぐにやめてしまう人もいたため、いまは勤続年数がある程度経過しないと制度が使用できないケースも増えているとのこと。
将来、大型トラックに乗りたいと考えている人は、まず普通免許や準中型免許で乗れるトラックのドライバーとして入社して、経験を積んでから大型免許取得というのが賢明かもしれない。
また、ハローワークには「教育訓練給付金」という制度があり、教育訓練施設(この場合は自動車教習所)に支払った教育訓練費の20%に相当する費用について申請すれば戻るという仕組みもある。ハローワークや教習所など、運送会社に入っていない人はコチラの制度を調べてみるといい。なお、この制度は運送会社に務めている人も対象なので、社内でステップアップしたいときにも利用したい(書類作りや申請を会社が行ってくれるケースもある)。
そして、これはあまり知られていないが平成29年の法改正から、新たに運転者として雇用される人は「初任運転者特別講習」という指導を受けることが義務付けられている。内容は15時間の座学とトラックを使用した20時間の実技講習を受けるという厳しいもので、これが終わらないと大型免許を持っていても会社のトラック(緑ナンバー)を運転することができない(過去3年以内に緑ナンバーのトラック運転経験者は除く)。
そのため運送会社に就職してもしばらくは内勤となる。この教習は社内で行なうところもあるが、外部委託で研修的に集中して実施することが多いそうだ。 このように大型免許を取ることも、それを仕事にすることも難しい面が出てきているけど、冒頭で触れたように大型トラックの運転は日本の物流の中心にある。それだけに大きな責任とやり甲斐のある仕事なので、それ相応の厳しさはあって当然。これから免許を取る方は、しっかりと教習を受けてこの重要な仕事を安全にこなしていって欲しい。