8ナンバーが必ずしもオトクではない
その昔、クルマをちょっと改造してベッドやコンロなどを備えることで「8ナンバー化(キャンピングカー化)」することで、支払う税金を減らしたり、車検期間を長くしたりという行為が流行。8ナンバーにすることは節税につながるという意識が広がりました。このため、8ナンバーにするのは税金逃れ的な見方をする人がいますが、決してそんなことはなく、福祉車両にも多く使われています。
福祉車両で8ナンバーモデルとなるのは「車いす移動車」と言われる区分が基本。名の通り、車いすに乗ったままクルマに乗るためのもので、”助手席リフトアップ仕様”などのタイプは、基本的には8ナンバー化の対象にはなりません。8ナンバーの車いす移動車は、床面積の2分の1が車いす用スペースとなっているのが条件。「車いす移動車に仕上げて、普段は普通のクルマとして使って税金を節約しよう」ということには使えないタイプが福祉車両の8ナンバーなのです。
自動車税は排気量によって税額が決められていますが、8ナンバーとした場合は一律1万4500円(東京都の場合)が基本税率。登録年数などによる重課などが加わりますが、重課については5 or 3ナンバーについても同じであり、自動車税については8ナンバーが最も安いということになります。
また、自賠責保険については5 or 3ナンバー車が2万1550円(24カ月)であるのに対し、8ナンバーは2万4020円(24カ月)と、若干8ナンバーのほうが高額。任意保険は保険を請け負う保険会社によってさまざまですが、保険料が安いダイレクト系(ネット系)保険では加入できないケースも多いので注意が必要です。
そして、高速道路の通行料金は基本的には同一。ただし、1ナンバーの貨物車の場合は福祉車両の8ナンバーにすることで若干安くすることができます。
このように税制面で大きな違いが出てくるのですが、クルマの仕様だけでなく「誰が使用するのか」「目的はなにか」というのがポイント。一般論になってしまいますが、8ナンバーの福祉車両をつかってメリットが感じられるのは、事業者の場合と言えるでしょう。とくに、マイクロバスサイズのクルマで「車いす移動車」とした場合は、大きなメリットが生まれそうです。