あえて3ペダル車に乗るという賢い選択
日本ではすでに98%で2ペダルのAT車であり、もはや燃費性能でも変速スピードでもAT車の方が優れている。性能面で考えれば3ペダルMT車に乗るメリットはないと言えるだろう。
とはいえ、そういった理屈を抜きにしても3ペダルMT車に乗りたいと考える人は一定数存在しているのも事実。フィルムカメラであったり、レコードだったりを愛好する人たちにも通ずるものがあるのかもしれない。
そこで今回は、現在新車でラインナップされているMT車の中から独断と偏見で乗っておきたい国産車をピックアップ。今後、より縮小が予想されるMT車だけに今がラストチャンスかもしれない。
トヨタ・カローラシリーズ
2019年9月に通算12代目へとフルモデルチェンジを果たした「カローラ」(ハッチバックのカローラスポーツは2018年6月に先行デビュー)。新たにトヨタの新世代プラットフォーム”TNGA”を採用し、ボディも3ナンバー化された新世代カローラと言える。
3ナンバー化したとはいえ、比較的コンパクトなボディを持つセダンとステーションワゴンにMT車が用意されるのは稀有な例と言えるだろう。
日産・フェアレディZ
新型の噂も聞かれるようになってきた「フェアレディZ」。現行のZ34型は2008年デビューなので、すでに12年が経過した長寿モデルということになる。しかし、搭載されるVQ37VHR型エンジンのポテンシャルは未だに一級品ということに異論はないだろう。
いまや希少なV6 3.7リッターの大排気量自然吸気エンジンを、MTで操れるクルマは国産車においてフェアレディZだけ。どこまで事実か分からないが、次期フェアレディZはダウンサイジングターボになる説が有力のようなので、最後の国産大排気量NAのMT車となる可能性も非常に高いようだ。
マツダ・MAZDA6
2012年に3代目のアテンザとして登場し、2019年7月のマイナーチェンジのタイミングで「MAZDA6」へと改名されたマツダのフラッグシップモデル。用意されるエンジンは、直列4気筒の2リッターと2.5リッターのNAと同2.5リッターターボ、そして2.2リッターのディーゼルターボエンジンの4種類となっている。
この中でディーゼルターボエンジン搭載車に6速MTを設定。どちらかというと粛々と走行することがメインであるフラッグシップセダンでありながら、450N・mという大トルクを発生させるエンジンをMTで操れる楽しみを残しているところがマツダらしいと言えるのではないだろうか。なお、セダンだけでなく、ワゴンも同様のラインナップになっている。
ホンダ・S660
「S660」といえば、軽自動車ながらミッドシップにエンジンを搭載したオープン2シーターという贅沢な設計。現在販売されている軽自動車の中では、唯一無二の後輪駆動の本格的スポーツモデルとなっている。エンジンこそ”Nシリーズ”に搭載されるユニットを使用しているが、ボディや足回りなどはほぼ専用設計だ。
搭載されるMTも軽自動車史上初となる6速MT。これほどまでに凝った車両が198万円(デビュー当時)と200万円を切る価格で販売されたのは奇跡と言っても過言ではないかもしれない。
先日マイナーチェンジを実施したばかりだが、メカニズム的な変更はなく、内外装の変更が中心だったことを見ても、当初から高い完成度を誇っていたことをうかがい知ることができるはずだ。