ちょい悪の象徴「シーマ」がブレイク
80年代後半のハイソカーブームを制したのが、「シーマ現象」という流行語まで生み出すほどの大ヒット車となった日産最高級セダンの「シーマ」だ。とくに”ちょい悪”なユーザーに人気で、むらがる女子もまた、それ風だったのを覚えている。それはともかく、当時の人気車やモテグルマはほぼすべてがセダンだった事実に、改めて驚くしかない。
そのほかにも、メルセデスベンツSECなども王者の風格で、女子大生に人気だったし、女子大生そのものが憧れたクルマが、初代VWゴルフのカブリオと呼ばれたオープンモデルだ。東京・港区界隈の女子大生の足として、当時はこれ以上カッコいいクルマはなかったと記憶する。
青山のカフェで知り合った、女子大生もホワイトのゴルフ・カブリオに乗っており、洗車と幌の艶だしをしてあげる口実で、明治神宮前の自宅におじゃましたことがある。あまりの豪邸ぶりに驚愕したものだが、80-90年代の真正お嬢様御用達の1台が、BMW3シリーズとともに、上品でクラシカルでもあるゴルフ・カブリオだったのだ。
オシャレ派に支持された欧州ワゴン
”六本木のカローラvs赤坂のサーブ”という構図がひと段落した頃、クルマ好き、オシャレ好きの間で密かにブレイクしたのが、空飛ぶレンガという異名を持つ「ボルボ240エステート」と70-80年代の「メルセデス・ベンツ ミディアムクラス(W123)」だった。後者もワゴンが人気であり、280TEが主流だったと記憶している(主に中古車だったはず)。 当時、女性誌の仕事をしていたこともあって、アパレル関係の知り合いも多かったが、そうしたオシャレ命の人たちが乗っている、あるいはひっちゃきになって探している2台だった。90年代といえば、現在では想像もできないほど、インポートワゴンが流行。いまのSUVブームとは違い、車種が限られていたため、街に溢れることなく、ある意味で健全なブームだったと言えるかもしれない。