マセラティはモテ車とは無縁だった事実
さて、BMW3シリーズを手放した筆者が次に手に入れたクルマは「マセラティ・ビターボ(1987年式)」。それはそれは美しく、獰猛な2.5リッターツインターボ(キャブレター)の、BMW3シリーズに対抗した2ドアのイタリアンスポーツクーペだった。
ただし、BMW時代と違ってモテグルマとは程遠かった。そう、マセラティは当時、クルマ好きを除いてほとんどの人が知らない、当時の女子の脳内クルマ辞典には載っていないブランドだったからだ (ボディカラーがガンメタで地味だったこともある)。
三叉の銛、トライデントのエンブレムが燦然と輝くキーホルダーも、女子の心を動かすことなど皆無だったと記憶している(泣)。
また、キャブ仕様なので冬場はエンジンが一発でかからず、当日はアウト(約束したデートも中止)。冬の間はディーラーに預けっぱなしということもあったりした。もっとも、2年乗った後はモノ好きなデザイナーの女性に売却し、その後は彼女に愛されまくったはずである。現在ならば、マセラティに乗っていようものなら、モテまくりのはずだが……。
その後は、貰い物のアメ車をちょい乗りし、メルセデス・ベンツEクラスセダン&ホンダ・アコードワゴンの2台持ちを経て、愛犬のために2代目オデッセイV6アブソルートに乗り換え。ミレニアムの2000年代はミニバンブームも後押ししたのか、意外や意外に女子の評判もよろしかった。
近年はブランド力やデザインというよりも、室内の広さや居心地の良さ、静粛性が女子ウケする時代となっているようだ(ミニバンはフルフラットアレンジでイチャイチャできたし)。そして、いまや「女子大生が乗りたいクルマランキング」でも上位に入る、世界的なSUVブームに至るというわけだ。
80-90年代のクルマ事情、バブル期を知らない人にとって、当時、それほどまでにセダンや輸入ワゴンが一世を風靡し、女子に絶大な人気を誇り、若者にとってクルマがすべてだったことなど、想像もつかないだろう。携帯電話代や高額なスマホ代も必要なく、クルマとテート代だけにお金をつぎ込むことができたのだ。
クルマでモテる……なんて、今では信じられない話かも知れないが、それが真実だったのである。
なお、80年代から今も昔も女子ウケする究極のSUVは、メルセデス・ベンツのゲレンデヴァーゲン(Gクラス)であろう。自称モテ期のワイルドなオヤジにはもってこいであるが、1000-2000万円という車体価格がネック。
そこまでの予算は、というならば500万円台で買える「シープ・ラングラー」がオススメ。世界最高峰の悪路走破性を誇るし、武骨なデザインも新鮮。操縦性や乗り心地はともかく、恋も休日も冒険に憧れる女子のハートに刺さること、請け合いである。