自動車税の減税は実施済みだが……
自動車には様々な税金がかかっている。所有しているだけで「自動車税(軽自動車税)」がかかるし、車検のタイミングでは「自動車重量税」が課せられる。購入時に払う「自動車取得税」は2019年9月いっぱいで廃止されたが、そのかわりに”環境性能割”という新しい税が導入された。
これは、燃費性能に応じた課税で最大3%(軽自動車は2%)という税率。ユーザーからすると取得税が名前を変えただけと感じることだろう。他にもガソリンや軽油といった燃料にも課税されている。一本化したほうがわかりやすい面もあるが、受益者負担の考え方からすればわかれているのも理解できる面もある。
たとえば「ガソリン税」については、それが道路補修に使われると考えれば、走行距離が長いユーザーの負担が大きいというのは理解できなくはない。もっとも、「自動車税」は一般財源といって使い道は行政の自由であり、道路特定財源ではないわけだが……。
また、「自動車税」については登録から13年を経過すると税額が増える、いわゆる「旧車増税」制度もあって、多くのユーザーから批判されている。古いものを大事にしない風潮を促すという批判もあるが、それ以外にも納得できない面も多い。
不動産にかかる固定資産税は少なくとも建物については減価償却が終わると負担が軽くなることを考えると、資産価値としてはゼロになっている旧車(市場価値が高い場合もあるが)への課税が重くなるというのはおかしな話だ。
そんな自動車税だが、悪いニュースばかりではない。
2019年10月に行なった自動車税の見直しだ。2019年10月以降に新規登録されたクルマから自動車税が減税されているというもの。排気量1000cc以下のクルマについては年間2万9500円から2万5000円へ、4500円も軽減された。
そのほか2000cc以下のクルマであれば、かなりの軽減を実感できることだろう。大排気量車では、もともとの自動車税が高いうえに、減税額も1000円とわずかだが、庶民の負担を軽減して、富裕層はそれなりに負担すると考えればある程度は納得できる。
エコカー有利な「グリーン化特例」
さらに自動車税には「グリーン化特例」という制度がある。これは2020年燃費基準を上回っている(燃費性能に優れる)クルマについては、最大75%減税されるという時限制度(2021年3月31日まで)。2021年4月1日以降、減税制度はなくなるが、電気自動車・燃料電池車・プラグインハイブリッド車・天然ガス車・クリーンディーゼル車については、少なくとも2023年3月31日までは75%減税になることが決まっている。
また、「自動車重量税」も2021年4月30日までは、エコカー減税といって一定以上の基準を満たした省燃費カーや電気自動車などは初回車検での重量税が免税に。そのほか、燃費性能により50%減税、25%減税の対象となるクルマもある。
こちらも電気自動車などは2回目の車検でも免税となることからもわかるように、日本の自動車諸税は現時点ではゼロエミッションビークルの普及を考えた税制設計といえる。新型コロナウイルス対策としてロックダウンした各都市では大気汚染が大幅に軽減したというニュースも見聞きしているだろうが、あくまでもクルマ自体の使用が減ったことが大きく影響していることは間違いない。
国際基準に近い軽自動車税
つまり、大気汚染対策としては旧車からゼロエミッションビークルに乗り換えようというインセンティブになる税制は理解できなくはない。
とはいえ、日本の自動車諸税がバランスの取れた税制とは言い難いのも事実。自工会の豊田章男会長は「軽自動車税(四輪乗用車の年額1万800円)がグローバルスタンダードに近く、登録車も軽自動車並みの税額にすべき」という発言をよくしている。
自動車を保有することは贅沢ではなく、最低限の移動手段という地域もあり、そう考えると自動車ユーザーへの負担は大きすぎる。特定財源ならまだしも、前述したように自動車税・軽自動車税は一般財源であり、自動車ユーザーへの極端な課税はアンフェアな制度といえるのだ。
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チェンジカータックス(経済産業省)
http://car-tax.go.jp/