都道府県単位でなく市町村で定めるところも
2020年4月1日から東京都で自転車損害賠償保険等への加入が義務化。じつは2015年には兵庫県で自転車保険が義務化されていたのですが、今回は東京でスタートしたということで注目を浴びました。全国に先がけて義務化された兵庫県ですが、それにはわけがあります。
2008年、神戸市において自転車に乗った小学生5年男児が女性に衝突。被害女性が意識不明の重体となり、その後の裁判で男児の保護者に約9500万円の賠償金支払いの判決が下されたという事案があったのです。被害者も加害者も不幸になる事態を少しでも改善すべく、保険加入の義務化が始まったのです。
現在は兵庫県をはじめ、東京都、神奈川県、埼玉県、静岡県、長野県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、愛媛県、鹿児島県、仙台市、名古屋市、金沢市などが加入を”義務化”。北海道、茨城県、千葉県、群馬県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、香川県、福岡県、熊本県などは”努力義務”としています。
努力義務というのは、加入するように努めなければならないということ。すなわち、保険に入らなかったからといって罰則はありませんが、本当の罰則は事故などが起きて、損害賠償請求がなされたときに起きると言ってもいいでしょう。神戸市の事故のように多額の賠償金請求が行なわれる事例も増えてきています。
なお、自転車用の保険の種類も基本的には自動車用と変わりません。一般的な保険の種類と適用例を列記すると下記のようになります。
●対人賠償
人身事故の賠償責任をカバー
●対物賠償
クルマとぶつかった際の傷やコンビニのガラスなど物品の賠償責任をカバー
●死亡、傷害、治療費保険
自転車に乗っている人(被保険者)が死亡したりケガをしたときに対応
●示談交渉サービス
事故の示談交渉を保険会社が代行
●弁護士費用の補償
相手方への損害賠償請求などを弁護士に委任した際の費用補償
●ロードサービス
自転車の自走が不能になった際に運んでもらえる
●盗難特約
自転車が盗難された際の保証
以上のものが自転車用の保険として用意されているものの概要。これらの保険は自転車保険として用意されているので、損害保険会社や自転車屋さんに相談すれば加入できます。ただ、誰もが加入しているであろう火災保険や自動車保険でカバーされていることもあります。
たとえば私の入っている自動車保険の”特約”では、対人と対物については無制限でカバー。自動車の保険で対人・対物を無制限に設定しており、そこに自転車の特約を付けたからです。これらの組み合わせや対応は保険会社やプランによって異なりますので、しっかりとしたチェックが必要。
また、搭乗者については、自動車保険の人身傷害補償保険でカバーできることもあり、一般的な傷害保険や生命保険でも特約として加入できることもあります。
どちらにしろ、自分で保険の内容を確認することは難しいので、メインとなっている保険を担当している営業の方に相談するか、さまざまな保険を扱っている保険相談窓口などを利用して、どこまでがカバーされていて、どこが足りないかなどをチェックするといいでしょう。
そして、家族全員が自転車に乗る機会があるなら、家族全員をカバーできるものにすることがオススメです。