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メルセデス・ベンツ「ウニモグ」が世界一万能な作業車と言われる理由

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: 妻谷裕二、ウエスタン自動車、ワイ・エンジニアリング

日本国内においても数々の現場で活躍

 ウニモグの実力は日本でもいかんなく発揮している。例えば、1972年の冬季札幌オリンピックでは道路除雪車として大活躍。高速道路のトンネル壁面清掃や照明器具の保守、維持管理車のみならず、JRA(日本中央競馬会)では馬場のメンテナンスにも愛用されている。

 また、テレビの山岳中継車として記憶に残る浅間山荘事件をはじめ、ニューストピックスな現場実況の報道をいち早く家庭に送る役目としても活躍。また、山林火災工作車として山地林道の火災パトロール、警察の災害警備用車両、消防車として時には人命救助にも大役を果たし、鉄道の保守用軌陸車としても使用されている。最近では2011年春、ダイムラー社から東日本大震災の被災地支援目的にトラックタイプの「U4000」「U5000」を各2台ずつ、計4台が日本財団に寄贈され、復興に偉大な力となった。

 

ウニモグ誕生と日本との関係

 最後にウニモグの歴史について触れてみたい。1945年秋、ドイツのダイムラー・ベンツ社で航空エンジンの元開発責任者をしていたMr.Albert Friedrich(アルベルト・フリードリッヒ氏)が、農業用車両として最初に図面を描いた。その後、工学関係者と農学関係者の緊密な協力により、ウニモグの原型的なデザインを元にして、原料不足その他、様々な困難を克服して進化してきた(下写真はU400ウニモグ)。

 1946年に「Erhard und Sohne社(エルハルト&ゾーネ社)」の手で最初の6台が完成。1948年、ウニモグの生産はゴッピンゲンにある「ボーリンガー社」に委ねられ、当社は1950年秋までに600台のウニモグを生産。その後、需要の伸びとボーリンガー社の生産規模の限界に鑑み、生産はダイムラー・ベンツ社の一部門として採用されることが妥当であると決定された(下写真はU400ウニモグ)。

 この決定にはダイムラー・ベンツ社製ディーゼルエンジン”OM636″が搭載されていることが重要な要因でもあった。1951年6月にはダイムラー・ベンツ社のガゲナウ工場からメルセデス・ベンツによるウニモグ第一号が誕生(初期の雄牛の角マークに代わって、メルセデス・ベンツのエンブレムであるスリーポンテッドスターがU401シリーズから装着)。そして、2002年にはガゲナウ工場の生産拠点をヴェルト工場に移し、新工場で生産されたウニモグが8月26日にロールアウトした。

 この年はウニモグ新時代の幕開けでもあり、51年間に亘り累計32万台を生産したガゲナウ工場との別れを意味した。ウニモグの生産拠点だったガゲナウにあるウニモグ・ミュージアムでは、今まで造られたさまざまなウニモグを観ることができ、試乗体験もできる。

 日本においては「ヤナセ」がウニモグの販売を開始したのが1959年5月のこと。翌年4月には、北海道の営林局に4台を配車。当初の輸入元はヤナセの関係会社であった「ウエスタン自動車」だったが、2005年11月以降は「ワイ・エンジニアリング」が輸入元となっている。

 以上、ウニモグの活躍分野のほんの一部を紹介したが、あらゆる広い分野でウニモグは「モクモク」と働き続けている。なお、現在までの累計輸入台数は約1800台。もし、スリーポインテッドスターの「万能機械」を見かけることがあれば、ぜひとも魅力や歴史について思い出して欲しい。

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  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)
  • 1949年生まれで幼少の頃から車に興味を持ち、40年間に亘りヤナセで販売促進・営業管理・教育訓練に従事。特にメルセデス・ベンツ輸入販売促進企画やセールスの経験を生かし、メーカーに基づいた日本版のカタログや販売教育資料等を制作。またメルセデス・ベンツの安全性を解説する独自の講演会も実施。趣味はクラシックカー、プラモデル、ドイツ語翻訳。現在は大阪日独協会会員。
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