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【動画】スーパーカーでドリフト挑戦! 2500万円のマクラーレンを改造した男の野望

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

エアサス仕様フェラーリからの次なる挑戦

 日本が発祥のモータースポーツとして、世界中で高い人気を誇る「ドリフト」。主力といえる車種は日本車が多いものの、不利を承知しつつ「フェラーリ」や「マクラーレン」で挑む男がいる。スーパーカーならではの面白さやクルマ作りの要点を聞いてみた。

 数年前に「フェラーリ360モデナ」のドリフト仕様を製作し、様々なイベントで豪快に白煙を上げて走る姿を披露。今年は新車価格2500万円の「マクラーレン540C」を投入、スーパーカーのドリフトといえばこの人、と世界的に認知されているのが鈴木宏和さんだ。

 スーパーカーを取り扱うプロショップ『アリオス』の経営者でありながら、公式レース経験も豊富で昔から大のドリフト好きという、走りのプロフェショナルとして高い知名度を誇る。創業当初はロータリーエンジン搭載の「ロードスター」でドリフトを楽しみ、以降は「マーチ」のワンメイクレースで全戦ポール・トゥ・ウィンを飾り、ドライビングのインストラクターとして海外から招聘されるなど、卓越したテクニックに加え理論も併せ持つ。

 鈴木さんがフェラーリでドリフトを始めた理由は、ごくシンプルで「誰もやっていないから」とか。ベースに選んだ360モデナはV8のNAエンジンで、低回転からフラットなトルク特性のためテールスライドをコントロールしやすく、3ペダルのMTを設定(当初は2ペダルのセミATで実践)するなど、意外なほどドリフトに向いているそうだ。

 とはいえ、ノーマルではテールスライドさせるのが精一杯。マシンには、鈴木さんならではのノウハウが盛り込まれている。最大の特徴はエアサスによる極端なリヤ上がりの車高だろう。セオリーどおりの前後バランスで車高を下げすぎるとドリフトが難しく、何度もテスト走行を重ねリヤ上がりという結論にたどり着いたという。

 ただし、スーパーカーは見た目のカッコよさも大事。車高を上げるのは走るときだけで展示中はベタベタのローダウンと、走り重視のクルマでは珍しいエアサスを選択したのはそんな理由からだ。

 鈴木さんいわく「イベントは展示時間が圧倒的に長いじゃないですか。走る直前に上げて終わったらすぐ戻す。やっぱリヤ上がりはカッコ悪いし見られたくないなって(笑)」と話す。

 前後にオーバーフェンダーを装着したのも、見た目と同時に最適なサイズのタイヤを履くため。純正はフロントが215/45-18でリヤが275/40-18と差が大きく、ドリフトでは今ひとつバランスが悪い。タイヤはグリップとコントロール性のバランスから『ケンダ』をチョイスし、ドリフト仕様の定番である油圧ブレーキを装着した超実戦的なマシンメイクなのだ。

 そして、その証拠にイベントのデモンストレーション走行だけじゃなく、過去にはドリフトマッスルで入賞するなど、正真正銘の”勝てるフェラーリ”を完成させた。

 そんな鈴木さんによる新たな試みが、マクラーレン540Cによるドリフト。360モデナと違いは2ペダルのセミATしか存在せず、電子スロットルのターボ車なのでアクセルコントロールがシビア。現在は左右に振り返す”8の字ドリフト”ができるようになった段階だ。

 ちなみに車両は千葉県のファーストガレージが用意したもので、アリオスとのコラボ企画。今後はアーム類を中心とした足まわりのワンオフなどを計画中で、フェラーリより難易度が高いからこそやり甲斐があると感じているという。まだ始まったばかりのマクラーレン・ドリフト・プロジェクト、YouTubeの『Arios Channel』でその雄姿を見ることが可能なので、今後の進化ぶりを是非ともチェックしてみよう。

 そして、いつの日かドリフト競技で暴れる姿を早くみてみたいものだ。

【詳しくはこちら】
http://www.arios.info/

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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